キャリア

大企業から中小企業へ転職した人たちの誤算と実感したギャップ 「若手に裁量権」「アットホームな職場」の売り文句に「ああ、そういうことか」

目の当たりにした「アットホームな職場」のリアル

 Sさん(30代男性)は大学卒業後、都内の大手金融機関でバリバリ働いていた。管理職も目前という時、母親ががんを患ったことをきっかけに、地元にUターン。時間に融通が効く仕事を探して、金融知識を活かせる経理関係の仕事に就いたが、Sさんは「“アットホーム”が辛い」と苦笑いだ。

「今勤めている会社は、社長との距離が近く、幹部にもものが言いやすい“アットホームな職場”というのが売り。アットホームというと心優しく穏やかな人たちが集っているかのような印象ですが、うちの場合、ただの馴れ合いです(笑)。

 まず社長がいい加減で、私が会社の経費削減や備品の購入を提案しても、気分次第で通したり通さなかったりする。雑に言えば社員が日頃どれだけゴマを擦っているかで対応が変わるんですよね。領収書も、気に入らない社員のものは『粗を探して、なかなか通してくれない』みたいな感じで……。気分屋では仕事が通らない大手組織のやり方に慣れていたので、最初は唖然としました」(Sさん)

 Sさんは、他の社員についても愚痴る。

「総務には勤続20年を超える女性社員がいるのですが、この人に気に入られるかどうかも重要ポイントです。勤務時間の半分は給湯室で井戸端会議をしているような女性なのですが、この人の機嫌を損ねると、本来彼女の業務である掃除や書類整理といった雑務を振られるばかりか、たとえばトイレットペーパーを発注してくれない、切れた電球を交換してくれないなどといった、地味な嫌がらせをしてくる。誰かの機嫌を取らないと、仕事にならないのは会社としてどうかしていると思います」(同前)

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