相場は「上がるから買う」バブル状態になるか
円高に向かうと見るや否や、まだ割安感のある円に換えて、その日本円を使って日本株を買う外国人投資家が先行し、やや後追いで国内の機関投資家、さらに遅れて国内個人投資家のマネーが集まり、株式市場が活況を呈するといったシナリオが考えられます。
まずは日経平均株価に組み込まれるような、誰もが知る大型株の中で、半導体だAIだとテーマを探して循環物色。そこに割高感が出てくると、何らかの理由を探して中小型株へシフト。さらに上昇する理由を探して大型株に戻るとでもいったような流れです。
買う理由は「上がるから買う」といった理由にならない理由であっても、その投資行動を正当化するロジックを無理やりにでも見つけて、創り出して投資するでしょう。バブルに乗り遅れて儲けの機会を逃したら大変ですから。
外国人投資家や機関投資家、一部の個人投資家によって株式市場の熱気が高まれば高まるほど、それまで様子見していた個人も遅れて参戦。経済系の週刊誌では「日本バブル到来!」「バブルに乗り遅れるな!」「今狙い目の株はこれだ!」といった特集が組まれ、ネットでも同様の記事が量産される中で、「投資機会を失うことは損をするのと同じ」といった恐怖感や「儲けたい」といった欲をくすぐられて参戦、といったこれまで何度も繰り返されてきた流れです。このタイミングになるとバブル終焉の足音が聞こえてきます。
※長嶋修・著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成
【プロフィール】
長嶋修(ながしま・おさむ)/1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経産省の様々な委員を歴任。YouTubeチャンネル『長嶋修の日本と世界の未来を読む』では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。マスコミ掲載やテレビ出演、講演等実績多数。著作に『不動産格差』(日経新聞出版)、『バブル再び~日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)など。最新刊は『グレートリセット後の世界をどう生きるか~激変する金融、不動産市場』(小学館新書)。