従業員の解雇や業務委託契約の解除には正当な理由が必要とされる。では、「SNSの投稿内容」はその理由になり得るのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
姪のことが心配です。彼女はある会社から業務委託されていたのですが、業務以外での正社員との待遇の差をSNSに投稿した際、3日後に契約解除となりました。姪の書き込みはグチのような内容で、企業秘密を漏洩したわけではありません。それなのに、契約解除にするのは、やり過ぎではないですか。
【回答】
会社との関係が業務委託ということは、形式的には委託契約の解除でしょう。もっとも、形式は業務委託でも継続的な委託で、日常の業務が会社の施設内にあり、会社の指揮命令を受けて行なわれ、依頼された仕事は断われない状態であれば、事実上は雇用契約といえる場合が多いと思います。
その業務委託契約の解除は解雇と同じで『労働契約法』により「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」になります。
SNSの投稿が解雇の理由であるとのことですが、実際はわかりません。そこで解雇理由の証明を請求できます。会社は雇用ではないと拒否するかもしれませんが、罰則の適用を恐れて雇用を否定しつつ、契約解除の理由の証明を出すことも考えられます。SNSの投稿が理由であれば、まず就業規則に定めがある解雇事由のどこに該当するかが次の検討課題です。