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「お金じゃ割に合わない」業界でも好待遇の“セコカン”こと施工管理で疲弊する若手社員たち 年収1000万円30代社員は「職人と上司の板挟み」、年収840万円20代社員は「転職も視野」

怒号が飛び交い、荒ぶる現場に疲弊する新人「同じ大学出たのに」

 施工管理として働く場所は現場3割、社内7割というYさんは、次第に“いわゆる内勤”への羨望が募るようになったという。理由は、「怒号が飛び交う状態に疲れた」ためだ。

「中卒から帝大卒まで、この業界はさまざまな学歴の人が携わっています。それはそれで面白い部分はあるのですが、大学の文系同期の多くは、大手町にあるオフィスに勤務。彼らはビジネスマナーに守られた世界で、冷暖房完備の静かなオフィスで働いているんだろうなと思うと、『同じ大学を出たのに……』と心底羨ましくなることがあります。

 こちらは仕事中に『おい、てめえ、のろのろすんな!』、『あり得ないだろ。俺らをバカにしてんのかよ!』など、平気で暴言が飛び出す現場です。職人とは仕事以外の話もなかなか合わず、雑談もしにくい。年収は1000万円を超えますが、そこまでやりがいがあるわけでもなく、メンタルの消耗が激しすぎて、いつまで耐えられるか……」

人を育ててくれないのに成長を期待されても…」

 文系大学卒で都内の空調設備系サブコンに勤め、施工管理を担うSさん(20代・男性)も前出のYさん同様、「人付き合いが難しい部分はある」と認める。そのうえで、問題として挙げたのは「人材育成が苦手な人が多いのではないか」という点だ。

「職人たちは基本的に言葉足らずな人が多い。上司の世代も同じです。背中を見て覚えろというスタンスでいたせいか、言葉を使って上手に教える・育てるのがあまり得意ではないと感じることもあります。また、感覚で仕事をしている人も多いため、『アレやっておいて』や『これ適当によろしく』というふんわりした表現が多いというか。現場なら“適当”と言えばそのレベル感まで通じるでしょ、という感じなんですよね」(Sさん、以下「」内同)

 Sさんの同期には、入社1年経たずに辞めた人もいる。「このままここにいても自分の未来が見えない」というのがその理由だった。

「暴言だけでなく、言葉で説明できないためか、ヘルメットの上から小突いてくるなど、すぐに腕力にうったえる人が何人かいて……。『ちゃんと説明してください』と言うと、すぐに『お前は理屈っぽい』などと逆ギレされてしまう。ほかにも言われていないからやらずにいると怒鳴られる、育ててくれないのに成長を期待されるなど、人材育成面に理不尽さを感じたようでした」

「その同期の気持ちは痛いほどわかる」というSさんだが、自身はまだ踏みとどまっている。給料がいいからだ。

「20代後半で、年収は840万円です。同世代男性の平均年収は420万円なので倍ぐらいですが、このままずっと長く続けるとは思っていません。今のうちに稼ぐだけ稼いで、資格もとって、いずれ転職するつもりではいます。会社の未来よりも自分の未来のほうが大事です」

 年収が高いといえど、人間関係からくるメンタルへの影響、育成面での不安などから、逃げ出す・逃げ出したくなる若手は少なくないのかもしれない。(了)

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