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「タトゥーを入れたいが恐い世界の住人と見られそう…」相談を受けた弁護士が示した“最高裁の興味深い判決”

 結局、最高裁は後者の解釈に基づいて『医師法』違反を否定しました。その補足意見で草野裁判官は、タトゥーは反道徳的な自傷行為であるとする考えや暴力団などの反社会的勢力が存在誇示の手段にしているなどの否定的な点があることを認めつつも、続けて「美術的価値や一定の信条ないし情念を象徴する意義を認める者もおり、さらに昨今では、海外のスポーツ選手等の中にタトゥーを好む者がいることなどに触発されて新たにタトゥーの施術を求める者も少なくない。このような状況を踏まえて考えると、公共的空間においてタトゥーを露出することの可否については議論を深めるべき余地」があると説示しました。

 タトゥーの露出に対する周囲の反応も、今後は社会でどのように評価されていくかにより、変わっていく可能性があります。

 なお、この補足意見には、当該彫り師の彫るタトゥーは『医師法』違反にはなりませんが、他人の身体を傷つける行為ですから、施術の内容や方法等で、傷害罪が成立し得るとの警告も付されています。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※週刊ポスト2024年11月1日号

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