しかし、契約取り消しのためには、息子さんが社会経験に乏しいこと、勧誘した女性に恋愛感情を抱いており、当然相手からも好意を持たれていると思っていたことが前提になります。結婚話も出ていたのですから恋愛感情の点は間違いないことでしょう。
しかし、ご質問からは女性にその気がなかったことはわかりませんし、宝石を買わなければ結婚しないなどと困惑させたというような事情があったのかもわかりません。まずは息子さんの意向や購入経緯の確認が必要だと思います。
もしも宝石購入後、女性の一方的な拒否で結婚話が破綻しているような場合は、デート商法に引っかかった可能性があり、契約の取り消しができます。
現在、マッチングアプリによるさまざまな被害が発生し、消費者相談が増えているといわれています。息子さんに宝石を売った業者に関する被害相談がすでにあるかもしれません。類似の事案があれば、デート商法であったことの有力な裏付けになります。消費生活センター等で相談してください。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※女性セブン2024年11月7日号