もっとも、飼育状態が極端に劣悪で、動物愛護管理法で禁止されている虐待といえる場合は別です。例えば、猫を狭いケージに入れて餌をやらないで衰弱させる、殴ってけがをさせるなどの行為です。この場合、警察などに相談や通報をして、虐待行為をやめさせることができます。
また、生き物である猫の飼い方は贈与者にとって重要なことで、譲受人が虐待しないことは当然の前提になっているはずです。虐待まがいの飼育をしていれば、Aさんの飼育方法に錯誤があったことになり、あなたの贈与契約を取り消して取り戻すことができます。
とはいえ、猫の飼育には決まった方法があるわけではありませんし、元来猫は自由な行動をする動物ですから、その猫に対応したAさんなりの考えがあるかもしれません。Aさんが子猫を返してくれない場合は、調停を申し立てて話し合ったらいかがでしょうか。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
イラスト/大野文彰
※女性セブン2024年11月14日号