「アメリカ的」なもののルーツ
松井:民主主義、自由貿易の旗頭だったアメリカやイギリスが、経済統合にも移民政策にも急に後ろ向きになりつつあるのは気になります。
松田:彼らの多くも、これまでの成長や繁栄が「自由貿易と移民あってこそ」ということを頭では理解しつつも、選挙や国民投票では「でも、もうたくさんだ」との声が上回ってしまったということですね。
トランプ氏だってお爺さんがドイツから渡ってきた移民で、そのわずか2代あとにこれだけの富と地位を築いた「アメリカン・ドリームの象徴」のような経歴なのは皮肉です。
松井:え、そうなんですか。トランプっていかにもアメリカ的な名前ですが。
松田:お爺さんはDrumpf(ドゥルムプフ)という、ドイツらしい名字だったそうですよ。
余談ですが、アメリカの通貨の名前「ダラー(ドル)」も、今のチェコにあったヨアヒム谷で採れた銀で作った貨幣を「ヨアヒム『谷の』(ヨアヒムス『ターラー』)」銀貨と呼んでいたのが、「ターラー」の部分だけ独立して広くお金の単位として使われるようになったんです。
松井:えっ。ドルはアメリカが発祥で、それがカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港などでも使われるようになったとばかり思っていました。
松田:200年ほど前に活躍したドイツの文豪ゲーテの手紙などを読んでも、当時はヨーロッパの各地でターラーが使われていたことが分かります。
ハワイは日米のかけ橋
松井:ところで、今日いただいているのは随分トロピカルな感じの料理ですね。
松田:こちらはハワイ料理です。私は名物のロコモコをいただきます。ハンバーグと目玉焼きを使っていますが、日本の丼物のようですね。
松井:私はガーリック・シュリンプとクリームが山盛りのハワイアン・パンケーキをいただきます。トロピカル・フルーツも添えられていて、東京に居ながらハワイのリゾート気分が味わえますね。
ハワイアンパンケーキの魅力
日本ですっかり定着したハワイアンタイプのパンケーキ。その特徴は、たっぷり乗ったホイップクリームに、ココナッツやフルーツがふんだんにトッピングされているところ。クリームの食感がすごく軽くて、全部食べれちゃうのが危険です(笑)。
松田:前回、日本からの移民が世界で二番目に多い国はアメリカだとご紹介しましたが、日系人の半分以上がハワイ州とカリフォルニア州に住んでいるということもあって、今回こちらのお店にしました。
松井:オバマ前大統領が生まれ育ったのもハワイでしたね。退任直前に安倍首相と真珠湾を訪問したのは、ご自身にとっても日米関係にとってもレガシー(遺産)を残すことを意識されたように思いました。
松田:オバマ氏は初のハワイ出身の大統領でした。そのハワイで日系人が歴史上果たしてきた役割は、意外に知られていません。
たとえば第二次世界大戦中にヨーロッパ戦線で最も勇敢に戦ったとされる部隊は、ハワイなどの日系人中心に編成された第442連隊で、アメリカの歴史上最も多くの勲章を与えられた部隊です。
勲章を受けた1人のダニエル・イノウエ氏は、長く上院議員を務め、尊敬を集めました(2012年没)。今アメリカが建造中のイージス艦には「ダニエル・イノウエ」と名付けられるそうですよ。
ハワイ州の州旗は、こんなユニークなデザインです
18~19世紀にかけてハワイに君臨したカメハメハ大王が親しくしていたイギリス人が、ハワイの旗として当初ユニオン・ジャックを掲げたそうです。その後、アメリカやフランスとの関係も深まったので、全体の構図はアメリカの星条旗を模した横ストライプに、ストライプの色はフランス国旗のトリコロール(三色)に、ストライプの本数(8本)はハワイで人が住む島の数になったようです(諸説あり)。