池袋で定点観測しているスポット
池袋の中でも私がとくに注目していた場所がある。池袋駅北口から徒歩30秒という超好立地にある店舗だ。
ここは1990年代には和光証券があった。個人的には平日に池袋へ寄ったときに株価をチェックできる便利な店舗でもあったが、株といえばバブルの象徴だ。
バブルが崩壊し株式市場が低迷した2000年代にはクレジットカードのATMが密集することになった。銀行の不良債権問題の処理が長引き、日本人の金回りが悪くなったため消費者金融や信販会社からキャッシングする人が増えたのだろう。しかし、それもグレーゾーン金利の撤廃など法規制の強化により徐々に廃れていった。
その後に入ったのが「おかしのまちおか」だ。背景にあったのはインバウンド消費。安価で安全だし、美味しい日本のお菓子は外国人観光客にとって格好のお土産だ。それを調達するためのお店として「おかしのまちおか」は支持された。
コロナ禍で観光客が途絶したことは「おかしのまちおか」にとって特大のダメージだったのだろう。2021年に閉店してしまった。
バブルとその崩壊、不良債権問題、インバウンドと社会情勢を映す鏡となってきた店舗を次に埋めるのは、どんなテナントなのか──。
そこに投資のチャンスがあるはずだと待ち構えていたが、一向に埋まる気配がない。繰り返しになるが、池袋駅北口から徒歩30秒の超絶好立地だ。それにもかかわらず埋まらないままの景色。コロナ禍のダメージがいかに凄まじいかを実感した。