元経産官僚で政治経済評論家の古賀茂明氏が指摘する。
「政府がマイナカードの普及を推進するのは、そこに利権があるからです。紙の保険証であれば病院の窓口で本人確認するだけで済むが、マイナ保険証にすれば、病院の窓口にカードリーダーを置き、オンラインで本人確認を行なうためのシステムを作り、運用しなければならない。それだけでも莫大なカネが動く。
しかも、マイナ事業の中核システムの入札は5社連合のみの応札で決まった。競争がなければコストが下がらない。役所で最初からどの企業にやらせるかが決まっていて、事前に企業側とどんなシステムを作るかを話し合い、他の企業が入札に参加しにくくして本命に落札させるという官製談合的な構造さえ疑われる。しかも、システム開発においては、最初に受注した企業がその後の追加事業の入札でも有利になる」
実際、その通りだった。
機構からはその後も5社連合側にシステム運用などが追加発注され、マイナンバー導入初期に機構が発注した当初契約額の645億円から1656億円へと2.6倍に増えていたことが報じられた。
「そうした利権構造のなかで重要な役割を担っているのが地方公共団体情報システム機構でしょう。マイナの全体システムは複数の省庁と全自治体が関わるため、その実務を担う機関として設立されたものです。役所が企業と直接やり取りすれば癒着を疑われるから、外郭団体にやらせるのは常套手段。構造的には、官民癒着の緩衝材のような役割を担っていると見ることができる。同機構を通じた利権構造ができると、官僚が暴走して予算が膨らむのです」(古賀氏)
当人たちはそうした批判にどう答えるのか。本誌・週刊ポストは総務省OBの菅原泰治・副理事長とNTT出身の樋口浩司・理事を直撃。同機構に回答を求めるとともに、5社連合の各社に入札の経緯などに関しても聞いた。
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※週刊ポスト2024年11月29日号