後で無効にならないよう贈与契約書を
暦年贈与が課税強化される一方、新たに有力な選択肢となるのが相続時精算課税制度だ。60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子や孫への贈与が2500万円まで非課税になり、相続発生時に贈与した全額を遺産に戻して相続税が課税される制度である。
「以前は節税効果がほとんどない制度でしたが、今年から年110万円の基礎控除が新設された。しかも、こちらの非課税枠は贈与者の死後も遺産への持ち戻しがないため、暦年贈与より有利です。ただし、利用に際して税務署に届け出が必要で、利用を始めると二度と暦年贈与が使えません」(相原氏、以下同)
どちらの制度を使うかを選んだうえで、「後で無効にならないように贈与が行なわれるごとに贈与契約書(図参照)を交わしておくことが重要」だという。
「贈与者(贈与する人)と受贈者(贈与される人)の間で2通作成し、誰が誰に何をいつまでに贈与するのかを明記します。日付と署名を手書きにすれば他はワープロで作成しても構いません。それぞれが1通ずつ保存しておくことで、見かけ上の名義を子に変えただけの『名義預金』などと見なされて、後から税務署に相続税の課税対象だと指摘される事態が避けられます」
※週刊ポスト2024年11月29日号