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「墓じまい」の落とし穴

“墓じまいブーム”の先に見える“墓なき時代” 宗教学者・島田裕巳氏「日本人は墓に囚われすぎている。本来、墓程度のことに悩む必要はない」

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最終的に墓は必ず無縁化する

 かつて民俗学者の柳田國男は「墓は無縁化するもの」と語った。島田氏はこの言葉に頷く。

「死者は長い時間をかけて徐々に忘れられ、いつかは人々との縁が切れて無縁化します。むしろそうなるために葬るのだと柳田は言いました。

 今は土葬から火葬中心になったとはいえ、人口減と共に墓を守る人が減っていき、最終的に墓は必ず無縁化します。社会が変化して“家を守る”必然性がなくなり、墓の重要性が低くなる過渡期において、墓じまいブームに乗る必要はないのかもしれません」

 島田氏は「墓なき時代」の到来を予感する。

「1948年に制定された墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)には『埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない』とありますが、今では海への散骨が許されてきています。墓への意識が変わってきている証左です。

 そのうち墓自体がなくなる可能性があるし、それが自然な流れだと感じます。日本人は墓に囚われすぎている。本来、墓程度のことに悩む必要はないのです。“墓じまいしなければ”などと考えること自体、墓に縛られた発想です。墓が無縁化することに任せるという考えも現代人には求められているのではないか」

※週刊ポスト2024年12月6日・13日号

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