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ビジネス
「マイナ保険証」をめぐる3兆円利権

【もっとも多いのは“黒丸”】マイナ保険証への本格以降でトラブル続出 本人情報の名前が「●」表示、カードリーダーの認証エラーも重なり医療現場も対応に苦慮

 厚労省はこれまで病院や薬局にマニュアルを配布し、患者や客にマイナ保険証への切り替えを促すように指導してきた。

 だが、マイナ保険証のトラブル続出で医療機関から悲鳴が上がると、「資格情報のお知らせ」というもうひとつの“紙の保険証”を配ることにした。

 これは協会けんぽや共済組合、市町村など保険者がマイナ保険証保持者に送付するA4判の文書で、マイナンバーカードの下4桁の数字が記載されている。すでに送られてきた人も多いはずだが、病院の窓口でマイナ保険証がエラーとなった場合、この紙を見せれば本人確認となる。1枚で良かった紙の保険証は廃止され、今後はマイナ保険証と「資格情報のお知らせ」の2枚持ちをしなければならないのだから、本末転倒も甚だしい。

 開業医の6割が加入する全国保険医団体連合会(保団連)の本並省吾・事務局次長が語る。

「もともとこんな文書(資格情報のお知らせ)を出す予定はありませんでした。マイナ保険証のトラブルが多いにもかかわらず、政府は紙の保険証廃止の方針を変えたくないから、わざわざ『資格情報のお知らせ』をつくった。こんな紙の証明書を出すなら、紙の保険証の廃止を延期すれば済むことです」

 実は、新たな“紙の保険証”は他にもある。マイナ保険証が認証エラーとなり、「資格情報のお知らせ」を持ってきていない場合は、医療機関に「被保険者資格申立書」を提出することになる。

「従来の紙の保険証とマイナ保険証、資格情報のお知らせ、被保険者資格申立書と、保険証のようなものが4つもあるわけです」

 前出の扇山院長はそう困惑している。

 別記事では巨額の国費を投じたマイナ保険証が、巧妙にも、トラブルが続けば続くほど予算が投入される構図になっている実態を暴く。

■関連記事:【登録解除システムに249億円】マイナ保険証の「巨大利権」 トラブルが起こるたびに厚労省の天下り先に予算がつき、システム改変する大手企業に金が落ちるからくり

※週刊ポスト2024年12月20日号

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