「投資家のバイブル」とも言われる『会社四季報』(東洋経済新報社)を、毎日コツコツ写経し続ける女子大生がいる。気が遠くなるような作業を通じて彼女が見つけた「隠れた優良企業」とは──。
「もともと数字の裏側を考えたり、数字を元に仮説を立てたりするのが好きでした。四季報の写経を続けるうちに、ビジネスの移り変わりを俯瞰できるようになってきたように思います」
そう語るのは、株式会社四季報写経の代表を務め、「四季報写経ウーマン」の名前で活動する現役女子大生だ。
日本の上場企業約4000社を網羅し、2000ページをゆうに超える『会社四季報』を毎朝4時に起きて黙々と写経し続けているという。
「きっかけはビジネスプロデューサー・山川隆義さんの著書『瞬考』(かんき出版)に出会ったこと。そこで四季報写経を知ったのですが、具体的な方法は書かれていなかったので試行錯誤しながら自分なりのやり方を確立していきました。現在はSNSを通じて四季報写経の“布教”やイベントの開催などを行なっています」(四季報写経ウーマンさん。以下「 」内は同じ)
写経といっても、使うのは紙や筆ペンではなく「Excel」。そこに会社名と4ケタの証券コード、創業年と上場年、業種、時価総額などの企業プロフィール、事業の種類や海外売上比率など計19項目を入力していく。
「ただ転記するのではなく、沿革を見ながら書いているとその会社のビジネスのイメージをつかむことができ、PER(株価に対する利益の比率)とROE(自己資本に対する利益の比率)など数字の意味も見えてくる。“なんでこれが売れているの?”といった疑問や仮説が次々に湧き、解決していくことの繰り返し。やればやるほど楽しくなるのが魅力です」
こうして四季報にある膨大な情報を自分の中にストックしていくことで、その企業の意外な成り立ちや強みを知り、会社同士の数字の比較もできるようになるという。