日本製鉄が仕掛けた米鉄鋼大手・USスチールの買収案は、トランプ次期大統領をして「私なら即座に阻止する。絶対にだ」と言わしめ、経済安全保障上の争点にまでなっている。買収の審査が最終局面を迎えるなか、渦中の日鉄・橋本英二会長(69)が、ノンフィクション作家・広野真嗣氏の独占インタビューに応じた。日鉄が倒産寸前の危機だった2019年に社長に就任した橋本氏は、危機を脱した上で成長にチャレンジする「三段跳び」の改革に挑んできた。大規模リストラを断行する「ホップ」、トヨタなど大口顧客に対し鋼材を大幅に値上げする「ステップ」、そして今回の買収という「ジャンプ」だ──。(文中敬称略)【全4回の第3回】
(以下、橋本氏が身を切る合理化、異例の賃上げに踏み切った経緯を明かす)