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【“争続”を回避する最短準備の手続き】相続税調査、付言事項、執行者の選任を進め、新制度「戸籍謄本の広域交付」の活用を

 相続税がかからない場合、大きな財産は自宅の土地建物だけというケースが多い。その際、被相続人の気持ちを残す「付言事項」を活用したい。

「遺産分割のため自宅を売却して現金化することがあります。しかし妻が自宅で暮らすことを被相続人が望むなら、『妻はずっと自宅に住めるようにしたい』と遺言書の付言事項に書いておけば、故人の意を汲んだ相続が行なわれる可能性が高くなります」(同前)

 加えて、遺言書の執行に必要な一切の権利や義務を法的に持つ「遺言執行者」を記しておくと、より効果的だ。

「遺言執行者は未成年、破産者以外は誰でもなれます。弁護士や税理士を指名すると費用がかかりますが身内は無料。一般的には財産を受け取る人ですが、妻は高齢の場合もあり、協力してくれる子供を指名するのがベター。遺言執行者を遺言書に記していないと改めて家庭裁判所で選任する必要等があり、とても面倒です」(同前)

 相続時は被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要になるが、近年はこうした書類集めも格段に楽になった。

「2024年3月にスタートした戸籍謄本の広域交付により、被相続人の本籍地が複数にまたがっていても、最寄りの役所ですべての戸籍謄本をまとめて取得できるようになりました」(同前)

 新制度を活用しつつ、死後に「争族」を生まない最低限の備えをしておきたい。

※週刊ポスト2025年1月3・10日号

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