「新NISA(少額投資非課税制度)」登場から早1年。これまで投資に縁のなかった人もこぞって口座開設するなど大人気となったが、一方で“洗礼”を浴びた人も少なくなかった。「2年目」はどう向き合えばいいのか、今さら始めるのは遅いのか。成功と失敗を分けた実例をもとに専門家がレクチャーする。【前後編の前編】
大暴落は瞬間的な“ノイズ”に過ぎなかった
新NISAは2024年1月の改正で「年間投資枠が最大360万円」「非課税期間は無期限」「保有限度枠1800万円」などと、旧NISAに比べて制度が大幅に拡充された。老後資産や住宅・教育資金向けなど、長期の資産形成に使い勝手が良くなったことから、「新NISAで投資を始めた」という人も多いだろう。
金融庁によると、新ルールがスタートして半年経った昨年6月末時点でNISA買付額の合計は10兆円超、口座数は2400万を超えた。投資ブームの過熱に呼応するかのように、同年7月11日に日経平均株価は史上最高値の4万2224円を記録している。だが、その後に波乱の展開も待っていた。新NISAに詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦氏が語る。
「昨年8月5日には日経平均が3万1000円台まで下がり、バブル期のブラックマンデーに次ぐ下落率を記録しました。SNSなどで“NISA詐欺”などの罵詈雑言が飛び交いましたが、その後は値を戻し、年末まで3万9000円前後で推移しています。長期的に見れば、昨年の大暴落は瞬間的な“ノイズ”に過ぎませんでした」
新NISA2年目を迎えるにあたり、注意すべきことは何か。深野氏は、「中長期の資産形成を促す目的のNISAではコツコツ積み立てる投資信託が向いている」と説く。
「今後も世界経済が成長する前提に立てば、経験則からして一時的にクラッシュしても株価は元に戻り、さらなる高値を目指していきます。いつ株価のクラッシュがあるかは誰にも予測できません。投資信託を10年、20年かけてコツコツ積み立てることで、短期的な値動きに左右されない資産形成が可能になります」(深野氏・以下同)