トランプ政権の顔ぶれを見ても、日本経済にとって実は好材料が並んでいるという。
グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏はこう言う。
「国務長官のマルコ・ルビオ氏や政府効率化省トップのイーロン・マスク氏は親日派で知られ、駐日大使には実業家のジョージ・グラス氏が就任します。そのことを踏まえると、日米の経済的な連携は基本的には高まっていくでしょう」
一方でトランプ氏は、デンマーク領グリーンランドの領有への意欲を燃やすなど欧州各国に厳しい目を向ける。加えて中国に対しては60%の関税をかける方針を示すなど強硬姿勢を崩さない。
前出の藤井氏は、「こうした対中強硬政策は日本経済にとって追い風となる可能性が高い」と見る。
「脱中国依存の流れが強まるなか、ベトナムや台湾を中心に中国からの生産移転が進んでいます。最近で言えば、熊本県に半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)の工場が建設されて活況に沸いていますが、中国から日本に生産拠点をシフトする動きに対しては、税金や補助金も投入されるし、新たな産業が勃興して雇用も生まれる。日本経済にとってポジティブな面が多い」
ディールに長けたトランプ氏が中国をはじめ世界各国に厳しい対応を迫るなか、日本が“漁夫の利”を得られる可能性があるという指摘だ。
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