また、相続人の1人が被相続人の面倒を見ても、親子の間で普通に見られる日常の世話程度では「特別の寄与」ではなく、寄与分は認められません。例えば、長年同居して食事を出していただけでは、寄与分は否定されています。
ですが、本来であれば付添婦を雇うような「療養看護」をした場合などには、付添費用の実費分だけ相続財産の減少が防げたことになります。相続人や、その奥さんなどが自ら看護をすれば、付添婦の日当の相当額を基準として、ある程度減額した額が寄与分になるでしょう。
寄与分に上限はありませんが、通常は遺留分侵害にならない程度、すなわち遺産の2分の1を限界とするのが妥当とされています。協議ができなければ、遺産分割の調停や審判になります。世話をしたお姉さんの寄与分は、その面倒を見た期間や内容を聞いて協議するのがよいと思います。
【弁護士プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2017年3月17日号