日本銀行は1月24日、政策金利を0.25%程度から0.5%程度へ引き上げると発表。植田和男総裁は物価や賃金の上昇を踏まえた判断だと説明した。これにより国民生活に大きく影響するのは、住宅ローン金利の上昇だ。“超低金利だから”という理由でローンを組んだ人にとっては人生設計の大きな曲がり角だが、どう行動すべきなのか。【前後編の後編】
「固定金利」にすべきか
住宅ローン金利の上昇には、どういった対策が考えられるのか。市場金利の変動に左右されない「固定金利」への借り換えも注目されるが、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営するMFSの取締役CMOで住宅ローンアナリストの塩澤崇氏は、しっかり検討したほうがいいと話す。
「現在の一般的な住宅ローンの変動金利は0.4%ほどで、固定金利は1.8%ほど。その差は1.4%あります。今後、変動金利が固定金利を上回るには、0.25%の利上げが6回以上続く必要があり、仮に変動金利が固定金利を上回っても、その状態が35年続いて初めて固定金利のほうがお得と言えます。将来の金利見通しを整理した上で、変動か固定かを選択するべきでしょう」
ただし、「変動金利から変動金利」への借り換えは有力な選択肢と言えるという。
「各金融機関の変動金利には意外なほど幅があります。この先の金利上昇局面では、より低い変動金利のローンに借り換えて返済額を減らすことが自己防衛になります。その際に注意したいのは金融機関や司法書士への手数料などの諸費用。これが元本の2.5~2.7%ほどかかります。借り換えの損得を判断するには、諸費用を含めた試算が必要です」
借り換えに際しては、「残債」「残り支払い期間」に加え、「借り換え先との金利差」「諸費用」を踏まえた検討が必要だ。