スマホへの着信は“警察”を名乗る男からだった(写真:イメージマート)
2024年の「特殊詐欺」の被害額は721億5000万円(前年比59.4%増)で過去最悪を更新した。被害が急増している背景には手口の巧妙化が挙げられる。シリーズ〈ルポ「特殊詐欺」の最新手口〉、フリーライターの池田道大氏が、警察官を名乗る人物からの電話をきっかけに200万円を振り込んでしまったという特殊詐欺の被害者(40代会社員男性)に話を聞き、その手口を明らかにする。被害拡大を防ぐために、ぜひ参考にしてほしい。【全4回の第2回。第1回から読む】
* * *
ある朝突然、スマホに警察官を騙る男から連絡が入り、「詐欺グループの押収品からあなた名義のキャッシュカードが見つかった。あなたを詐欺の容疑者の一人として取り調べます」と告げられた都内在住の小倉和秀さん(40代・仮名)。
取り調べを担当する自称・女性警察官のシマダから、「事件に関する情報を人に話すと機密保持違反で刑罰の対象となる」と脅され、「あなたに対する詐欺容疑の逮捕状が出ています。非常に不利な状況です」と告げられた。その後、LINE電話を通じて精巧な偽の逮捕状を突き付けられた小倉さんは、すっかり相手の言うことを信じ込んでしまった。
このままでは逮捕される──怯える小倉さんに、“女性警官”シマダはこう告げた。