どうしても公的年金との関係を勘ぐってしまいます。日本老年学会が政府の片棒を担ぐような御用機関だというつもりはありません。
ただ、提言を見る限り、私は老年学会と日本政府の間には「暗黙の共謀」があり、政府の意向に沿った提言をまとめたという疑いを拭い去れません。
3年前の財政検証で厚労省は公的年金の支給開始年齢を65歳から70歳へと繰り延べる画策をしました。実際、最も基本となるシミュレーションは男性高齢者の7割が70歳まで働く前提で計算されています。
ところが、70 歳への支給開始年齢の繰り延べを匂わせただけで、国民から猛烈な反発を受けたため、今は政府内でそれは禁句の状態となっています。
ただし、現状レベルの公的年金給付を続けようと思ったら、現実問題として支給開始年齢を繰り延べるしかない。
そこで、日本老年学会が旗振り役を買って出たのではないかと、私は考えています。
これを後ろ盾に、さすがに一気に75歳は無理だとしても、70歳支給開始を国民に納得させようという政府の意図も透けて見えるのです。