社会の先行きが不透明な今、老後に向けて少しでも蓄えを貯めておく必要がある。経済アナリストの森永卓郎氏が、「知らなきゃ損する制度」のひとつとして「セルフメディケーション税制」について解説する。
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今年1月から開始された「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」はぜひ活用したい制度です。きちんと健康診断などを受けている人が、市販薬のうち医療用から転用された特定成分を含む医薬品を年間1万2000円を超えて購入した際に、1万2000円を超えた部分の金額(上限8万8000円)について所得控除を受けることができる制度です。
この購入金額には生計を一にする配偶者や親族の分も含まれます。家族で対象医薬品を年間5万円買った場合、3万8000円が課税所得額から控除されるので、かなりお得です。対象商品は箱に識別マークが入っていて、厚労省のサイトでも簡単に調べられます。
ただし、あくまで特例なので、従来の医療費控除制度と同時に利用できない点は注意が必要です。従来通り10万円を超えた医療費の所得控除を受けるか、セルフメディケーション税制を活用するかは、どちらが得になるかを考えて自らが選択することになります。年末まではレシートを貯めておくのがよいと思います。
特に会社員が取れる資産防衛術は本当に限られています。会社員でも活用可能なこうした制度を利用して、憂いのない老後を過ごしたいものです
※マネーポスト2017年春号