“ミスター消費税”こと財務省の新川浩嗣・事務次官(時事通信フォト)
「なぜ150兆円ものカネを他国にくれてやるのか」
藤井聡・京都大学大学院教授はそうした対米投資増額が国民に付け回される危険が大きいと見る。
「アラスカでのLNG開発には巨額の投資が必要と見られていて、採掘できても採算が取れるのかが疑問視されている。リスクが高い事業に日本企業は簡単に投資したがらないから、政府は参加させるために補助金や投資減税、財政投融資などの国民の税金を使った投資優遇措置をどんどん投入することになるでしょう。最終的に国民負担で高いガスを買わされることになる可能性があります。
政府主導で日本企業に米国への巨額投資をさせるくらいなら、その資金を国内に回せば内需拡大で日本経済は大きく成長できる。なぜ、国民の意志で自由に使える150兆円ものカネを自国で使わずに他国にくれてやるのか」
政府が対米投資促進に予算を投じるほど、国民への増税圧力は高まる。
「石破政権は『政府の借金はこれ以上増やさない』という財政規律を掲げながら、社会保障費の増加や防衛費の倍増などを推進し、今回の訪米によるトランプ大統領との約束でもさらに国の支出が増える。借金を増やさずに政府が支出を増やせば、必然的に増税するしかなくなる。これまで歴代政権に財政規律を“後生大事なものだ”と強要し続けて増税をさせてきた財務省の思惑通りでしょう」(藤井氏)
これから石破首相の「トランプ外交尻拭い増税」が国民を待ち受けているとの指摘である。
■前編記事《【トランプ大増税が日本を襲う】米国から「防衛費をGDP比3%に」と要求されるのは時間の問題 消費税で賄えば税率12%が必要に》から読む
※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号