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河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

【大学2026年問題】定員充足率が初めて100%を下回り「大学全入時代」に新たな局面 「激減する18歳人口の奪い合い」の行き着く先

文科省も大学経営者も与野党も地方自治体も……拡大路線を後押し

 ところが、文科省も大学経営者も18歳人口の減少が分かっていながら、流れに逆行する動きを続けてきた。中でも理解に苦しむのが、大学数を増やしてきたことである。単純には言えない部分もあるが、文科省の学校基本調査(2024年)によれば前年より3校多い813校だ。

 常識的に考えれば、マーケットの縮小を見越して組織を小さくするところだが、学部を新設する動きも続いた。募集定員を拡大することで受験者数や入学者数の目減りを少しでも補おうという発想なのだろうか。

 与野党や地方自治体も大学の拡大路線を後押ししようとしている。

 たとえば、大学無償化だ。「親の収入状況に影響されず、子どもたちに大学進学の機会を提供する」との理屈だが、進学率をさらに上げ、あるいは授業料を値上げしやすい環境をつくろうという意図が透けて見える。留学生の受け入れを拡大するための政策を強化する動きもある。

 大学経営者の危機感の薄さは、定員割れしてもただちに大学経営が破綻するわけではないところからきているようだ。事実、定員割れする私立大学が増えはしたが、それに比例して募集停止や廃校する大学が増えたわけではない。

 私立大学の場合には、高校や中学など複数の学校を併設しているところや、設立母体が宗教法人などで大学の収入以外の財源を見込めるところが少なくないためだ。大学単体では赤字に陥ったとしても学校法人全体としては経営的に問題ないところが少なくないのだ。

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