文科省が公開した「平成28年度学校基本調査」によれば、大学在学者数は前年度に比べて1万3000人増加の287万4000人。大学進学率も前年度より上昇しており、過去最高を記録した。しかし、高学歴だからといって必ずしも正規雇用にありつけるわけではない。
高学歴人口の増加と同時進行しているのが、非正規雇用人口の増加だ。2017年は前年に比べ正規雇用人口が51万人増加している一方、非正規の職員・従業員数は36万人増加している。なかでも非正規雇用女性の生活は厳しいものがある。女性の非正規雇用職員・従業員場合、全体の45.1%が年収100万円未満ともっとも高く、ついで年収100~199万円の人口が全体の39.5%を占める(総務省統計局「平成28年度 労働力調査」より)。
こうした流れのなかで浮上しているのが、「高学歴女子の貧困」問題だ。今回は国内屈指の美術大学を卒業した女性・夏美さん(27歳・仮名)が貧困生活を強いられている現状をレポートする。
* * *
夏美、27歳。埼玉県出身、東京在住。
某有名私立美大の修士課程を卒業したのち、現在は油絵を描きながら公立中学で非常勤の美術講師をしているという。元美大生ではあるものの、極めて地味なファッションを身にまとい、都内の喫茶店に現われた。
「美大は本当にお金がかかりますね。大学の学費も高いですが、高校2年の時から美大専門の予備校に通ったり、私は油画(油絵)専攻なので画材費がバカにならなかったりで、親にもかなり負担をかけたと思います。同級生たちは家が裕福で余裕がある家庭の子が多かったのですが、私の家は埼玉の一般家庭ですし、親も大変だったと思いますね」(夏美さん。以下「」内同)