昼飲みの客層もさまざま
ジョニ黒とハチミツの絶妙なハーモニー
「こちらのお店は、ずっと午後2時開店なんですか」
ケンちゃんの質問に、高坂さんは答えた。
「オープンは2018年ですが、当時は午後3時スタートでした。でも、もっと早くから開けられないかという声が女性たちから出て、午後2時オープンにしたんですよ」
女性? どういうことだろうか。
「銀座でランチをして、夕方には家に帰る女性たちからの要望だったんです。ランチの間はワインを飲むわけですけど、ランチタイムが終わっても、まだあと少しだけ飲みたい。そんなとき、3時オープンだと、ちょっと遅いわけです。2時に開いていれば1、2杯飲んでからゆっくり帰っても、夕方には家に着きますよね」
なるほど、ランチを楽しむ人の食後の1杯のために、バーは午後2時に開店して然るべき、ということなのだ。
「あと、夕方に新幹線や飛行機で移動される方が、少し空いた時間で、寄っていただくこともありますね。土曜日は、休日にゆっくりバーを楽しみたい方が早くから来られますし、銀座のバーは日曜定休が多いので、日曜日にはインバウンドのお客様が見えます」
なるほど、なるほど。そして今、平日の昼間には、ケンちゃんと私、ふたりの昼から飲みたいオジサンがいるのだ。
ケンちゃんの2杯目は、ハニーハイボール。銀座のビルの屋上で蜂を飼い、とれたハチミツをウイスキーに漬けておいて、それをベースにハイボールをつくる。これも高坂さんの店で飲むときの楽しみのひとつだ。ベースは、ブレンデッドのジョニーウォーカーと、アイラ島産シングルモルトのボウモア。ケンちゃんはジョニ黒を選んだ。正解だと思う。
私は、3杯目をどうしようか、しばし迷った。ジンフィズから、ジンベースのギムレットとつないだので、このままジンを継続してマティーニへいくのも、すっきりしている。一方で、ウイスキーに切り替えるなら、タイミングは今、という気もしている。
私の視界に白州のボトルが入ってきた。しかも12年のボトルである。心は決まった。
「白州のソーダ割りをお願いします」
やはり「白州」はうまいのだ
バーで白州や山﨑の熟成年数表示のボトルを飲むことは少なくなっている。昨今のウイスキー価格の高騰の影響だが、うまいものはうまいし、あれば飲みたい。また、国産のいいウイスキーを飲まねばならない、という思いもある。そして、飲んでみて、ああ、やはり、うまいね、と確認するのが、私は好きだ。