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池上彰氏・佐藤優氏がグリーンランドをめぐる“トランプディール”を読み解く 「購入」をふっかけて「民族自決権」に落とし込む、人々の認知フレームを変える天才的能力

池上:グリーンランドが位置する北極海は中ロの艦船が出没する物騒なエリアですから、犬橇(いぬぞり)やヘリといった装備しかない自治政府に、“守ってあげますよ”とアプローチすれば、保護国のような状態に持ち込む道が拓ける。実際にどうなるかはさておき、トランプさんはそんな落とし所を念頭に最初にふっかけたのだと私は見ています。

佐藤:「購入」という異様な話から出発して「民族自決権」の話に転じると、まともに聞こえますよね。最初から自決権と言っていたら“デンマークを分裂させるつもりか”と反発を食らいますが、突拍子のない話から始めて軌道修正すると人々の受け止めは全く違ったものになる。人の認知のフレームを変えてしまう天才的な能力がトランプにはあるように思えます。

池上:稀代のトリックスターでしょうね。不動産王とよく言われますが、実は何度も事業に失敗しています。彼の凄みは、その度に裁判所に持ち込み、取引で借金をチャラにしてきたディールの才でしょう。政治指導者というより、ディールによって利益をものにする人物として見たほうがわかりやすい。

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 関連記事《【全文公開】池上彰氏×佐藤優氏が緊急対談 トランプ大統領による「ウクライナ停戦」後の新しい世界地図を読み解く 「新帝国主義の時代」に備えよ》では、池上彰氏と佐藤優氏が存分に語り合った「トランプ停戦後の新しい世界地図」についての分析を全文公開している。

構成/広野真嗣(ノンフィクション作家)

【プロフィール】
池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から「週刊子どもニュース」のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。名城大学教授、東京工業大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』『一気にわかる!池上彰の世界情勢2025 トランプ再選で日本と世界はどうなる編』など。

佐藤優(さとう・まさる)/1960年、東京都生まれ。元外交官、作家。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在露日本国大使館などを経て外務省国際情報局に勤務。現在は作家として活動。主著に『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』、近著に『賢人たちのインテリジェンス』『佐藤優の特別講義 戦争と有事 ウクライナ戦争、ガザ戦争、台湾危機の深層』など。

※週刊ポスト2025年3月14日号

ジャーナリストの池上彰氏

ジャーナリストの池上彰氏

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた元外交官で作家の佐藤優氏

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた元外交官で作家の佐藤優氏

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