中国人向けSNSでの米転売の投稿(『小紅書』より)
生産コストを考えたら農協より業者のほうがいい
米の流通は、農家から農協が集荷し卸業者を経て市場へ供給されるルート(およそ半数)と農家が業者や個人と直接取引するルートに大別される。
千葉県いすみ市で米の製造・販売を手掛ける「新田野ファーム」代表取締役の藤平正一氏が言う。
「昨年の暮れ頃から、新規の仲卸業者や街中の米屋さんが直接買いに来るようになった。うちが業者に売る令和6年産米は1俵(約60 kg)で3万9000円だけど、農協の買取価格は同じ1俵で2万円。生産コストを考えたら農協より業者のほうがいいが、自分たちの販売ルートを持たない農家は農協に出すしかないですよね」
価格高騰を好機と捉えて参入する買取業者が増えるなか、注目を集めるのが「転売ヤー」だ。とりわけ中国人向けSNSで日本の米の転売をめぐるやり取りが活発で、〈本日新潟コシヒカリ15袋入荷。飲食店歓迎〉〈千葉の米わずかに入荷。東京付近配送可能〉などの中国語の投稿が連日のようにアップされている。
新田野ファームにも、転売目的で米を仕入れに来たという。
「1月からつい最近まで、『5俵でも10俵でもあるだけください』って中国人が来ていたよ。『そんなに出せない』と断わったけど、ワンボックスカーにどこかで買った5俵分くらいを積んでいたな。仲間の飲食店やネットオークションに出しているらしいよ」(藤平氏)
後編記事《【コメ転売の現場】中国人向けSNSを通じて“転売ヤー”に接触 中国人カップルは「どこから来た?」と質問、「同胞を助けるためにやっている」と語る飲食店主も》では、実際に中国人向けSNSを通じて、転売ヤーに接触を試みた結果について、詳細にレポートしている。
※週刊ポスト2025年3月14日号