中国人向けSNSでの米転売の投稿(『小紅書』より)
あくまで「同胞を助けるために」というスタンス
同じくSNS上で米の転売を投稿する、神奈川県内で中華料理店を営む中国人男性にも取材した。
店を訪ねると、レジ奥には10 kg入りの米袋が大量に積まれている。価格は10 kg7000円だった。
「米業者から1トンくらい仕入れて余っているから、同胞たちを助けるために小紅書(SNS型電子取引アプリ)で売ろうと思ってね。新米だ。品質は間違いない。転売ヤー? うちは安く仕入れて高く売ることはしてないよ」
男性はあくまで“人助け”のスタンスだった。
転売行為自体は法令等で処罰の対象ではないが、投機的な転売が増えることで価格高騰に拍車をかけてしまう側面はある。「令和の米騒動」を収束させるには何が必要か。農業ジャーナリストの松平尚也氏はこう言う。
「流通する米が不足する状況自体が問題で、転売が広がる素地を作っています。備蓄米放出だけでは収束しない可能性があります。2018年の減反政策廃止後も続く生産調整を緩和し、主食用米の生産量を今より増やすべきです。それで価格が低下するなら、欧米のように農家に直接支払いをするなど経営安定化に向けた支援を行なえばいいのです。供給量が増えて価格が適正化されたら、転売ヤーがコメ取引に集まる余地も少なくなります」
いつまで高騰が続くのか。日本人の生活にとって喫緊の大問題だ。
■前編記事:中国人向けSNSで活発にやり取りされるコメ転売〈本日新潟コシヒカリ15袋入荷〉〈千葉の米わずかに入荷。東京付近配送可能〉など 直接農家を訪ねてくる中国人も
※週刊ポスト2025年3月14日号