「節約を楽しむコツは、人と比べないこと」と小笠原さん
年金生活の前から節約をしてきた
小笠原洋子さん(75才)は、東京都在住のひとり暮らし。未婚。65才まで学芸員などとして働き、退職後はエッセイストに。近著に『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)がある。
収入は国民年金の月約4万円と文筆活動による月3万~4万円のため、月約10万9000円の家計の不足分(約3万円)は貯金を取り崩し、日々の生活はなるべく節約しているという。若い頃から、工夫をしながら節約をしてきたせいか、それが苦にはならないそうだ。
「年金暮らしになる前から、1日の食費や日用品費を1000円に抑えたり、洋服を自分でリフォームしたりして、無駄遣いしない工夫をし、貯金してきました」(小笠原さん・以下同)
とはいえ、さすがに最近の物価高にはあらがえず、1日1000円は厳しくなってきたという。しかし、節約技はほかにもある。
「コートは一生着られる質のいいものを、靴も上質なものを2足用意して履きつぶすまで使います。いいものを長く使い、衝動買いしないようにしています」
小笠原さんの家計簿(1人分)
このまま節約を続け、慎ましく日々を過ごせば問題はなかったのだが……。昨年、足を骨折して3度の手術と120日の入院を強いられることに。入院費や治療費、通院にかかるタクシー代など、予定外の出費が30万円以上にもなったという。しかし困ったのはそれだけではなかった。
「私は人づきあいが苦手なので、すぐに頼れる人がおらず、勇気を出してかつての知人に連絡して、病院への送迎をお願いしました。いざというときに頼れる人がそばにいたら心強いと実感しましたね」
ティッシュペーパーはトイレットペーパーで補い、かわいい容器に入れて日常的に活用。「使用後は水に流せるので、ゴミも減らせます」(小笠原さん)
お金は年金生活において重要だが、それと同じくらい“人とのつながり”も大切。たとえ仕事を辞めても、人間関係を維持する努力は続けた方がよさそうだ。
後編記事《「年金の範囲内で暮らせています」高齢女性たちのリアルな家計と暮らし 「30代から個人年金」「46才での離婚後に貯金」…老後を支える事前準備》では、年金のみで生活費をまかなえているという3人の女性たちのリアルケースを紹介しよう。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2025年3月13日号