「正しさ」で争わないのもポイント(『知識ゼロからの問題社員のトラブル解決 円満退職のすすめ方』より)
クレーマー化した社員に対しては議論に持ち込まない
私たちは、「丁寧に説明すれば相手も理解してくれる」という期待を持っています。ですが相手に聞き入れる姿勢がなければ、説明をしても理解に至らないのが真実です。ですから、クレーマー化した社員に対しては議論に持ち込まないという意識を持つべきです。
クレーマー化する社員は、ネットなどの知識をもとに「自分は人事に詳しい」と過信しています。このような相手に問題点を指摘しても、自分の意見に固執するだけで問題の解決にはなりません。
要求は書面で提出するように伝える
ここからはクレーマー化した社員への対応における具体的なポイントについて触れておきます。まずは即答できないことをおそれないということです。次に相手に、要求は書面で提出するように指示してください。要求内容を固めさせるのが目的です。
書面が提出された場合には、会社からの回答も書面でおこないます。会社への批判がおさまらず、事態が改善しないのであれば、社員の立場に理解を示しながら、退職勧奨をすることを検討します。
Point1:「即答できない」ことをおそれない
Point2:社員の要求は書面で提出させる
Point3:会社の回答も書面にする
Point4:質問への回答はどこかの段階で打ち切る
Point5:本人の不満を退職勧奨の理由とする
※島田直行・著『知識ゼロからの問題社員のトラブル解決 円満退職のすすめ方』(幻冬舎)より、一部抜粋・再構成
【著者プロフィール】
島田直行(しまだ・なおゆき)/島田法律事務所代表弁護士。山口県弁護士会所属。山口県下関市生まれ、京都大学法学部卒業。「経営者の悩みにすべて応える」ことを旨とし、問題社員のトラブルのみならず、クレーマー化した顧客の対応、事業承継など幅広いジャンルを取り扱う。心理学的なアプローチを取り入れながら「調和」と「バランス」のとれた解決策を編みだし、これまで経営者側の代理人として200件以上の労働事件を解決に導く。著者に『社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています 「条文ゼロ」でわかるクレーマー対策』(プレジデント社)、『院長、クレーマー&問題職員で悩んでいませんか?〜クリニックの対人トラブル対処法〜』『社長のための士業のトリセツ』(共に日本法令)など。