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ビジネス

習近平政権を批判して表舞台から消されたアリババ創業者ジャック・マー氏が突如“復権”、「米中AI戦争」を睨んだ習氏からのメッセージか

アリババグループ開発のAIはDeepSeekを上回る

 AIビジネスにおいては「ChatGPT」を開発したオープンAIなど米巨大テック企業が圧倒的に優勢だったが、2024年末に中国の新興企業DeepSeekが低コスト・高性能の生成AI「V3」を開発して猛追。

「これに対抗するかたちでトランプ大統領はオープンAI、ソフトバンクグループ、オラクルが共同で5000億ドル(約78兆円)を出資するAIインフラ整備『スターゲイト計画』を発表し、米国をAIの世界首都にするとの大統領令に署名した。米巨大テック企業もAIに巨額の投資をすると表明しています」(同前)

 一時は後れを取っていた中国も攻勢を強める。

「アリババグループは新型AIモデルを発表し、『DeepSeekのV3を性能で上回った』と喧伝した。また、検索エンジン最大手・百度の関連企業はユーザーの質問に自動で応答するプログラム『AIチャットボット』を開発し、大手テック企業テンセントも大規模言語AIモデルを開発するなど、かなりの勢いで中国のAI業界が拡大しています」(同前)

 DeepSeekはオープンAIのデータを不正取得した疑惑が取り沙汰され、米国は調査を進めて技術輸出規制を強化しているが、中国側が意に介する様子はない。

「先端チップの国産化で7兆円規模の産業育成ファンドを新たに設けた。さらに習氏は生成AIのために需要が高まる半導体をめぐり、台湾・TSMCの中国版と言える中芯国際集成電路製造(SMIC)に注力。同社は世界第3位の半導体製造企業に成長した」(同前)

 次世代を見据え、北京大学などを中心にAI人材の育成にも乗り出した。

 そして、米国がロシアと接近するなかで、他の世界各国のAI市場を獲ることを画策する。

「中国が一帯一路の参加国にAIアプリを提供して参加国の政府や個人のビッグデータを取り込み、意思決定の方向性を掴むなどして国際世論の影響力を強める可能性などがあります。国際社会を巻き込み、米中AI戦争が熾烈になることは間違いありません」(同前)

 経済面での覇権争いも、新たな局面を迎えている。

※週刊ポスト2025年3月21日号

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