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【注目トピックス 日本株】ムゲンE Research Memo(3):中古不動産を大小問わずスピーディに買い取る目利き力と資金力が強み(1)

*14:03JST ムゲンE Research Memo(3):中古不動産を大小問わずスピーディに買い取る目利き力と資金力が強み(1)
■ムゲンエステート<3299>の事業概要

1. 中古不動産の流通市場の動向
(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2024年における首都圏の中古マンション成約件数は37,222件(前年比3.4%増)で、2年連続で前年を上回った。成約平米単価は76.88万円(同6.9%増)、成約価格においても4,890万円(同6.9%増)といずれも12年連続の上昇となった。2024年12月の在庫件数は、44,981件と同3.3%減少した。特に都市部における中古不動産の市場は堅調と言えるだろう。新築マンションの価格高騰や供給縮小傾向があり、相対的に中古マンションの魅力が高まっていることも背景にある。

今後の市場動向については、2024年に日本銀行によるマイナス金利政策の解除や追加利上げが実施されたという懸念材料もある。ただし、2025年初頭までは利上げ幅は軽微であり、日米の金利差が依然として大きいため、為替も円安基調が継続している。当面は、不動産需要への影響は限定的であると弊社では考えている。

2. 不動産売買事業
不動産売買事業は、コア事業である不動産買取再販事業(投資用、居住用)、近年新規に参入した不動産開発事業、不動産特定共同事業で構成され、近年の業績はコロナ禍の影響を脱したこともあり、売上高で2期連続の増収、セグメント利益で4期連続の増益と業績は好調だ。

(1) 不動産買取再販事業
中古不動産を買い取り、バリューアップしたうえで再販売する事業で、同社が創業期から手掛けるコア事業である。物件は、「投資用不動産」及び「居住用不動産」に区分して管理する。同社グループで抱える工事部門及び賃貸管理部門が主にバリューアップを担当する。再販に際しては、外部の不動産仲介会社に仲介(媒介または代理)を依頼する形態を主とする。投資用不動産は、一棟賃貸マンション・オフィスビル・区分所有マンション等の賃貸収益が発生する物件で、購入者は国内外の不動産投資家である。バリューアップの内容として、建物の管理状況の改善、経年劣化に伴う修繕工事、空室の賃貸及び滞納賃料の解消等の実施による不動産投資利回りの向上が挙げられる。投資用不動産は、仮に売却できない期間が続いたとしても賃料収入が入り続けるため、リスクが相対的に低く、収益性を高めることができる。仕入から売却までの平均期間は1年半程度である。居住用不動産は、区分所有マンションを中心に購入者が居住用として利用する不動産である。購入者は、初めて住宅を購入する1次取得者層や買い替え目的の高齢者層など幅広い。バリューアップの内容として、内装工事及びユニットバス・システムキッチン等の設備の更新がある。仕入から売却までの平均期間は1年弱である。

また、同社の強みとして以下が挙げられる。
1) 首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)及び北海道エリア(札幌)、東北エリア(仙台)、西日本エリア(名古屋、京都、大阪、福岡、那覇)において拠点・人員を配置しており、国内外の仲介ネットワークから仕入・販売の情報が入手できること
2) 居住用も投資用も、数百万円の小規模物件から数十億円の大規模物件まで買取・再販が可能なこと
3) 仕入から工事、販売に関する営業までを一人で担当するため出口を意識した判断をスピーディに行えること(目利き力)
4) 金融機関約60行との取引関係があること
5) 資金力、財務基盤が強固なこと

近年の業績は、コロナ禍での落ち込みからも脱却して成長軌道に乗っており、特に投資用不動産の成長が著しく、全体の成長をけん引している。2024年12月期は、投資用不動産の販売が177件(前期比47件増)、平均販売単価は152百万円(同3.6%減)となり、売上高で同31.2%増の27,043百万円、居住用不動産の販売が481件(同49件増)、平均販売単価は58百万円(同1.7%減)となり、売上高で同9.4%増の27,957百万円となった。

(2) 不動産開発事業
不動産開発事業は、2020年に開始され、2022年12月期から開発物件の売却が開始された。主に不動産投資家向けに、一棟賃貸マンションやオフィスビルを中心とした収益物件等の開発を行っている。同社グループで、開発用地の仕入業務から、企画立案、設計、工事、リーシング、販売までを一貫して担当する。土地の入手がカギとなる事業であるが、同社の不動産買取のネットワークで入手された土地情報を有効活用できる利点がある。ブランド名は「SIDEPLACE」であり、店舗付きのマンション・事務所で実績がある。これまで培った不動産再生のノウハウを生かし、より環境に配慮し、物件ごとに最適なコンセプトを設定した開発を行う方針だ。

近年の業績は、売上高の成長性は高いものの事業規模はまだ小さい。2024年12月期は、販売が5件(前期比2件増)、平均販売単価は501百万円(同54.2%増)となり、売上高で同157.0%増の2,509百万円となった。

(3) 不動産特定共同事業
不動産投資家の裾野の拡大を目的として、不動産特定共同事業法に基づく不動産の小口化商品の販売を行っている。2018年6月に、不動産特定共同事業許可(東京都知事)を取得して参入した相対的に新しい事業であり、今後も市場の拡大が見込まれる。小口化する物件としては、安定収入が期待できる優良な一棟賃貸マンションやオフィスビルが好まれるため、中古不動産に対する目利き力が必要であり、購入後も高い品質を維持するために同社グループで企画、設計、運営、管理までの総合的なサポート体制を整えている。

対象物件が限られることもあり参入後の伸びは高いものの、まだ事業規模は小さい。2024年12月期は、プロジェクト2件の組成と札幌ホステルプロジェクトの第1期募集が終了し、売上高で前期比11.5%増の2,141百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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