2010年に「次の10年の花形は為替トレーダー、金持ちへも最短」というコラムを読みました。
書いたのは、マシュー・リンという米国のコラムニストで、このコラムが気に掛かり、ここ4年間、何度か読み返してみて、彼の見方は卓見だと思うに至り、私の意見も交えながらご紹介したいと思います。
1980年代以降の主役たち
マシューさんは、10年ごとに主役が交代してきたと言っています。つまり、1980年代にはM&A(企業の合併・買収)、1990年代にはハイテク企業を支えたベンチャーキャピタルとインターネット関連企業の新規株式公開(IPO)を助けた銀行、2000年代にはヘッジファンドと彼らに商品を供給したデリバティブトレーダーでした。
そして、2010年代は為替トレーダーの時代に……。ひとつひとつ理由を見てまいりましょう。
まず金融市場のある分野が時代を引っ張るには2つの条件が必要と、マシューさんは言っています。それは技術革新とボラティリティー(価格変動率)。今のFX取引では、この2つの条件を満たしており、しかも主要通貨には、十分なリクイディティー(流動性)もあります。
また、2000年代までの主役たちと、2010年代の主役である為替トレーダーの大きな違いは、2000年代までの主役たちが専門的で取り扱う商品も複雑で、一握りの人しか恩恵を受けられなかったのに対し、為替はシンプルなため参加者の裾野は広く、方向さえ間違われなければ、多くの参加者が恩恵を受けることになると見ています。
マシューさんの言葉を借りれば、2010年代の10年間は若く野心的な人間がFX取引で他の分野よりもはるかに容易に頭角を現す可能性が高いということになります。
なぜ今、為替トレーダーが主役?
彼のレポートによりますと、外為取引が2010年代の金融市場の主役になると考える幾つかの理由があると、以下述べています。
マシューさんが2010年のレポートで述べていた第2、第3の理由は、まだ現実化していません。それに代わって、私から付け加えさせて頂きますと、既に「為替トレーダー主役の時代」が現実になってきている理由として、長期の円安トレンドがあります。
円安については、1995年からの17年間にも及ぶレンジ相場が2012年末で終了し、2013年よりトレンド相場に転換したばかりです。
しかも、この17年間のレンジ相場の前のトレンド相場は1985年のプラザ合意以降の10年間で240円から80円まで160円もの超円高となる大相場になっています。つまり、ドルの価値が3分の1になり、円の価値が3倍になったというとんでもない相場でした。
今回はじまったばかりの長期の上昇トレンドも、かなりのスケールの円安相場になるものと思います。 個人的には、これから4~5年で、160円近辺まで円安は進むのではないかと見ています。
プラザ合意以降の大円高時代は、為替取引が個人にはまだ解禁されておらず、銀行ディーラーやブローカー(仲介業者)がこの大相場の恩恵を大きく受けました。
しかし、今回は個人投資家のほうがチャンスはあります。