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【水上紀行の為替相場の本質】 2010年代の主役は為替トレーダー

 銀行ディーラーは内外の規制からリスクをほとんど取れなくなっており、またブローカーは電子化により大幅に人員が減ったことにより、大きな恩恵は受けづらいのです。

 1998年の外為自由化以降、年を追って取引を活発化させている個人投資家層がこの大円安相場の恩恵を大きく受けることになるものと見ています。

 今、世界でリスクを負ってポジションを張っているのは、ファンドと個人投資家ぐらいのもの、と言っても決して過言ではありません。しかも、円は日本人にとってはホームカレンシー(自国通貨)ですので、海外勢よりもなじみ深い通貨であり、これからの円安の大相場で大きく儲けるチャンスは、日本の個人投資家層にはあると見ています。

 そして、日本人は世界のFX取引の4割を占めています。現在、世界的に個人のマーケット参加者が増加しており、アフリカや中央アジアや南米なども含めて、世界各地からFXマーケットに参入している中で、日本人は過半数を占める勢いなのです。

2010年代に為替トレーダーが主役になる理由

【理由1】債務危機
これは、既にユーロ圏諸国の債務危機によって、現実となり、2011年春から2012年夏にかけて、ユーロは大きく下落しました。

【理由2】米ドルの失墜
米ドルは長期的な下落基調にあり、中国やブラジル、インドなど新興経済の台頭により、ドルは最終的にその特別な地位を失うだろうと見ています。ここでも、この移行を導くのは為替トレーダーだと述べています。

【理由3】新たな準備通貨の登場
ドルの凋落の中で、世界は価値を保全する信頼できる器を求めることになり、何が機能し何が使えないかを最終的に決めるのも為替トレーダーたち

時代のトレンドを逃すな!

 お話ししてきましたように、2010年代の10年間は「FX取引で若く野心的な人間」が他の分野よりもはるかに容易に頭角を現すことができる可能性が高く、日本人にはそのチャンスが大きくある、とご理解頂けたと思います。

 それでは今年の相場はどうなるか。2014年に関して申し上げますと、円安地合いが一昨年から続き、市場のセンチメントが円安になることで、ポジション調整からのドル安円高局面もあると思います。しかし、今の日本は貿易赤字国です。そのため、絶えることのないドル買い円売り需要がありますので、結局は、再び上昇するものと思われます。場合によっては、112円前後まで上がる局面もあると考えています。

 ただし、過去にもオーバーシュート(行き過ぎ)した後値を戻して、絡みつく習性のある200か月移動平均線が107円近辺にあることを考えると、上昇後は107円前後を中心とした揉み合い相場になる公算が高いと見ています。

 大相場だけに、時には乱高下することもあると思いますが、本質的な相場の大きなトレンドはどっちを向いているか、決して忘れてはなりません。相場のそれぞれの場面に応じたトレーディング・スタイルに合わせて行くよう、自らをスイッチしていく前向きな姿勢を持つことが
必要不可欠です。

 皆さんのご健闘を心よりお祈り申し上げます。(2014年2月3日執筆)

※「マネーポスト」2014年春号に掲載

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