中国における2月末の外貨準備高が増加に転じている。資金流出は止まったようだ。中国人民銀行は8日、2月末の外貨準備高は3兆51億2400万ドルで、1月末と比べ69億ドル増加したと発表した。これは8か月ぶりの増加である。
2月はドル高が進行した。中国は非ドル資産による外貨準備を増やしているが、招商証券のチーフエコノミストはこの目減り分について156億ドルに上ると試算している。これを考慮すると、中国人民銀行が積み増した準備高は225億ドルと計算される。
2015年8月11日、中国人民銀行は、人民元対ドル基準値を1.82%切り下げ、「前日の終値を参考として、外貨の需給状況、国際主要為替市場の変化を総合的に考慮して基準値を算出する」と発表、為替レート改革を実行、為替の自由化が進んだ。
一方、市場では、2015年以降、輸出、輸入の伸び率がマイナス基調となる中、当局は人民元切り下げによる貿易回復を模索するのではないかといった見方が広がった。
また、2015年3月から6月にかけて株価が急騰、その後急落したことで、当局は株価バブル対策を強化した。同時に、不動産についても価格動静に強い関心を示し、不動産投機も難しくなった。さらに、理財商品ではシャドーバンク問題が再燃した。中国本土の投資環境は悪化、富裕層によるハイリターンを求める貪欲な投機資金は、海外へと流出するようになった。