*16:31JST ADワークスグループ Research Memo(1):ROE目標を13~14%に引き上げ
■要約
ADワークスグループ<2982>は、事業法人や個人富裕層向けに投資用オフィス・一棟賃貸マンションなどの不動産物件をバリューアップ後に販売する収益不動産販売事業と、保有不動産売却までの期間に得られる賃貸収入や販売後のプロパティ・マネジメント(以下、PM)収入などで構成されるストック型フィービジネスを両輪に事業展開している。
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比20.7%増の49,910百万円、税金等調整前当期純利益(以下、税引前利益)で同23.3%増の2,547百万円と2期連続で過去最高業績を更新、会社計画(売上高47,000百万円、税引前利益2,300百万円)に対しても上回って着地した。収益不動産販売事業のうち不動産小口化商品「ARISTO」シリーズが同164.3%増の13,179百万円と大きく伸張したことが主因だ。市況の高騰が続くなか、需要の高い好立地物件を精査しながら仕入活動も積極的に推進し、期末の収益不動産残高は前期末比1.5%増の45,465百万円と高水準を維持した。
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比10.2%増の55,000百万円、税引前利益で同9.9%増の2,800百万円と増収増益が続く見通し。小口化商品の売上高が同51.8%増の20,000百万円と高成長が続き、収益のけん引役となる。金利上昇による需要の冷え込みが懸念されるが、小口化商品はターゲットとする顧客層が幅広く、足もとの需要も陰りは見られない。また、事業ポートフォリオを拡大すべく、新規事業として不動産クラウドファンディング事業、区分オフィス販売事業、蓄電所開発事業を開始する予定だ。同社は2013年度以降、業績計画に対してほぼ超過達成しており、2025年12月期も堅実な業績計画の上振れを目指す。
3. 企業価値向上に向けた成長戦略
同社は企業価値向上に向けた成長戦略を新たに打ち出した。不動産小口化事業の成長加速、再生販売事業の物件価値向上力の強化、新規事業の育成、生産性・人財エンゲージメントの向上に取り組むことで、2027年までのROE目標を従来の8%から13~14%に引き上げた(2024年12月期9.5%)。PBR水準が0.6倍程度と1倍割れの水準が続いているが、ROEの向上と期待成長率の増加、株主資本コストの低減に取り組むことで早期に1倍超を目指す方針だ。
4. 株主還元方針
2024年12月期より株主還元方針を変更し、連結配当性向で50%を超えない限りにおいて配当利回り(1株当たり年間配当金÷1月~12月までの月末株価の平均)が4%以上となるよう配当額を決定することにした。同方針に基づき、2024年12月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の10.0円(配当性向29.9%、配当利回り4.4%)とした。2025年12月期は同2.0円増配の12.0円を予定している。配当性向50%の水準が18.5円なので、2025年12月期の業績が会社計画どおりで、株式数も変わらないことを前提とするならば、株価460円程度までは、株価上昇と連動して増配が期待でき、株主にとってはダブルメリット(株価上昇、増配)を享受できる仕組みとなっている。
■Key Points
・2024年12月期業績は不動産小口化商品の急成長により2期連続で過去最高を更新
・2025年12月期も堅実な業績計画の上振れを目指す
・ROEの改善とPER向上に向けた施策を打ち出し企業価値向上に取り組む
・配当性向が50%を超えない限りにおいて配当利回り4%以上となる配当を実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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