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【注目トピックス 日本株】フォーバル Research Memo(1):2025年3月期第3四半期累計は、売上高・各利益とも2ケタ成長

*12:01JST フォーバル Research Memo(1):2025年3月期第3四半期累計は、売上高・各利益とも2ケタ成長
■要約

フォーバル<8275>は、中小企業の「ESG経営を可視化伴走型で支援する企業ドクター(次世代経営コンサルタント)集団」を基本戦略として事業を展開している。

1. 事業概要
同社の売上・利益は、主にフォーバルビジネスグループとフォーバルテレコムビジネスグループで構成されている。事業の柱であるフォーバルビジネスグループでは、中小・小規模企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティング、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取り次ぎなどを手掛ける。

2. 業績動向
2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比13.0%増の51,957百万円、営業利益が同22.6%増の2,343百万円、経常利益が同17.5%増の2,477百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同10.9%増の1,370百万円となり、売上・各利益ともに2ケタ成長となった。売上高に関しては、中小・小規模企業や自治体におけるDX推進の機運の高まりを受けて可視化伴走型経営支援サービスなど各種サービス・機器販売が堅調に成長した。さらに電力サービスや太陽光発電システムの増加、新たに連結に加わったグループ会社の寄与などにより、前年同期比13.0%増となった。利益面では、売上総利益が可視化伴走型経営支援サービスの拡大等により伸長した一方、販管費の伸びを一定範囲に抑えたことで営業利益・経常利益ともに増益となった。

2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.5%増の67,000百万円、営業利益が同11.3%増の3,600百万円、経常利益が同7.0%増の3,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.4%増の2,100百万円と、売上高・各利益ともに増収増益を見込んでいる(期初予想どおり)。通期の業績予想に対する第3四半期の進捗率は売上高で77.5%(前年同期は72.4%)、営業利益で65.1%(同59.1%)と、いずれも前期を上回る。フォーバルビジネスグループの自治体向け可視化伴走型経営支援サービスや子会社(株)タニタヘルスリンクなど自治体向け中心の事業が増加する進行期は、期末に業績が計上される自治体向け事業の特性を反映して、第4四半期に好業績が期待できる。

3. 成長戦略・トピック
同社は、2024年12月にインフォメティス<281A>(本社:東京都港区)と業務提携を行った。インフォメティスのコア技術である機器分離推定技術を活用し、電力関連事業の強化・拡大を図るとともに、この技術に基づく新規事業の創出を推進することを目的としている。インフォメティスは2013年にソニー<6758>(現 ソニーグループ)より知財譲渡を受け事業カーブアウトしたベンチャー企業であり、電力データを役立てるサービスを複数リリースし事業基盤を構築した。2024年12月には東京証券取引所(以下、東証)グロース市場へ上場している。コア技術である機器分離推定技術は、主幹(送電線から家庭に引き込んだ電線を各部屋に分配する前の部分。ブレーカーの前後部分)を1ヶ所測定するだけでAIがその家全体の電力使用量とその内訳をリアルタイム(即時)に推定・可視化する技術であり、家庭でのスマート・リビングや業務用でのエネルギー・マネジメントなどへのさらなる活用・普及が期待される。同社では、主力のフォーバルビジネスグループにおいて、法人向け可視化伴走型経営支援サービスを絶えずブラッシュアップしており、電力の可視化という切り口で顧客企業のGXや脱炭素化、ESG経営に資する可視化プログラムを開発することは大きなメリットとなる。また、フォーバルテレコムビジネスグループの電力サービスの顧客に対しては、需要家の行動変容を促すコミュニケーションツール(アプリ)を活用することで、省電力や購買原価の低減などが期待できる。また、独居老人の電力使用量が突然大幅に減少したことをきっかけに健康状態の異変を察知するなど、見守り関連サービス等への応用も検討する。電力の可視化という観点での中小法人向けの可視化伴走型経営支援サービスに関しては規格づくりやサービス設計の段階であり、両社が共同して開発を行う計画である。

4. 株主還元策
同社は、配当による株主への利益還元を重要な経営課題の1つとして認識している。今後の事業計画や財務状況など、中長期的観点から内部留保と安定した成果配分、双方のバランスに配慮して配当金を決定する方針であり、配当性向は公約していない。同社は、安定的な利益成長を背景に増配を続けており、過去10期の配当金は増配または同額、配当性向はおおよそ30%以上である。2025年3月期は、配当金30.00円(前期比2.00円増配)、配当性向37.4%を予想する。株主優待制度では、毎年9月30日現在で1単元(100株)以上を保有する株主に電子マネーギフトを贈呈しており、株主から好評を得ている。

■Key Points
・可視化伴走型経営支援サービスを軸に、中小企業・自治体のGDX・ESGを支援するフォーバルビジネスグループが柱
・2025年3月期第3四半期累計は、売上高・各利益とも2ケタ成長
・2025年3月期は売上高67,000百万円、営業利益3,600百万円を予想。自治体向け事業が増加し、第4四半期(単独)に好業績が期待できる
・電力の使用状況の可視化を進めるインフォメティスと業務提携し、脱炭素化や電力関連で事業拡大を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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