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【注目トピックス 日本株】SBSHD Research Memo(5):2025年12月期は過去最高の売上、各利益も3期振りの増益に転じる見通し

*12:05JST SBSHD Research Memo(5):2025年12月期は過去最高の売上、各利益も3期振りの増益に転じる見通し
■今後の見通し

1. 2025年12月期の業績見通し
SBSホールディングス<2384>の2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.2%増の485,000百万円、営業利益で同15.8%増の20,500百万円、経常利益で同8.9%増の20,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同16.4%増の11,200百万円となる見通し。物流事業における注力分野である3PL、国際物流、EC物流における成長戦略を推進することで売上高は3期振りの過去最高更新を目指す。利益面では、前年に新規で立ち上げた拠点の収支改善や倉庫の空き坪解消など、物流事業の収益構造改革に取り組むことで、3期ぶりに増益に転じる見通しだ。営業外収支は前期に増加した持分法投資利益や補助金収入を保守的に見て若干の悪化を想定しているため、経常利益は1ケタ台の増益にとどまるが、特別損失として計上した減損損失1,037百万円の縮小により親会社株主に帰属する当期純利益は2ケタ増益を見込み、過去最高益(2022年12月期11,732百万円)に肉薄する水準まで回復する。なお、不動産事業における流動化を下期に予定しているため、中間期の業績は2ケタ減益計画となるが、物流事業については中間期から増収増益に転じる見通しだ。

営業利益の増益要因について見ると、物流事業においては新規顧客の獲得・既存顧客の取引拡大や料金適正化に加えて、前期立ち上げた不採算拠点の収支改善や倉庫空き坪の削減、M&A効果が増益要因となる。また、不動産事業では高収益物件の流動化により増益を見込んでいる。なお、海上運賃や為替レートの前提は前期と同水準に設定し、業績への影響は中立と見なして計画に織り込んでいる。

(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比8.4%増の455,600百万円、営業利益は同28.0%増の11,800百万円を計画している。重点3分野の強化による売上拡大を図るとともに、収益力の回復に向けて料金適正化や前期に立ち上げた不採算事業拠点の収支改善、倉庫の空き坪削減等に取り組んでいく。また、M&Aの効果として前年10月に子会社化したSBS NSKロジスティクス(以下、NSKロジ)の業績が通年で寄与するほか(年間売上高で165億円程度、営業利益は軽微)、2025年4月に子会社化予定のブラックバードの業績は第3四半期から上乗せされることになる。

同社開示資料によるとブラックバードの業績は2023年12月期に売上高44百万ユーロ、営業利益11百万ユーロとなっており、2ケタの増収増益を達成している。円換算(156円/EUR換算)すると売上高で70億円、営業利益で17億円の規模となる。ブラックバードが高成長を続けるなかで同社グループに入った理由は、顧客需要に対応するための拠点拡張に必要となる資金面での課題を解消するためと思われる。主要顧客であるディスカウントストア企業は欧州各国へ進出を加速しており、物流を支えるブラックバードにとっても拠点拡張が喫緊の課題となっていた。3PLのノウハウを持ち資金余力のある同社グループに入ることで今後、高成長を実現するものと期待される。また、同社にとっても欧州に3PLの拠点を持つことにより、今後は欧州での事業拡大だけでなく、米国やアジアでも3PL事業を展開し海外事業を強化していく考えである。

なお、主要子会社3社(SBS東芝ロジスティクス、SBSリコーロジスティクス、SBSロジコム)の業績については、それぞれ増収増益で計画している。SBS東芝ロジスティクスについては、新規顧客の獲得や既存取引の拡大により、売上高で前期比5%増となり、利益面では新規物流拠点の採算改善や料金適正化に取り組むことで同28%増を見込む。SBSリコーロジスティクスは、2024年11月に開設したEC物流拠点となる物流センター八尾(大阪府)の満床稼働に向けた営業活動を強化するほか、他の新規拠点の空き坪解消や料金適正化などで不採算拠点の黒字化に取り組み、売上高で同4%増、営業利益で同12%増を目指す。SBSロジコムは営業力強化に加え物流品質の向上や人材確保を積極化し、売上高で同1%増、営業利益で同5%増と堅実な成長を見込んでいる。

なお、2024年2月に開業したグループ最大規模の「野田瀬戸物流センターA棟」(千葉県、4.3万坪)については、稼動率が着実に上昇し、2025年7月頃にはほぼ満床となる目途が立ったようだ。当初は4フロアのうち、EC物流専用フロアとして1万坪、残り3フロアはグループ会社で埋めていく予定であったが、EC物流の引き合いが活発なことから、同フロアを1.5万坪と当初計画に対して5割の増床を行った。2024年8月に開設した「物流センター横浜福浦」(SBSリコーロジスティクス、1.7万坪)や、同年9月に開設した「柏沼南倉庫」(SBS東芝ロジスティクス、約8,700坪)についてもまだ空きスペースがあるようで、年内のフル稼働を目指す。2025年12月期の物流拠点の運営面積は、前期末比5.6%増の114万坪となる見通しだが、このうちM&Aによる増加分を除けば増加率は2.0%増と小幅にとどまる。これは、2024年に開設した物流施設の収益改善を最優先に進めるためだ。

(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比2.6%増の18,400百万円、営業利益は同7.2%増の8,700百万円を見込む。賃貸事業は2024年に発生した空床の影響が残り、若干の減収減益となる見込みだが、下期に流動化を実施することで、開発事業の売上高は5億円、営業利益は6億円それぞれ増加する見込みだ。

(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比11.4%増の11,000百万円、営業利益は同28.1%増の500百万円となる見通し。太陽光発電システムの新規物流拠点への導入が進んだことで売電収入が増加するほか、マーケティング事業も増収増益を見込む。ここ数年損失が続いていた人材派遣事業についても、黒字化する目途が立ったようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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