これまで不動産やバイオ関連を中心に株価上昇が続いていたが、5月以降の市場の乱高下で、今後の物色対象も大きく変わろうとしている。カブ知恵代表・藤井英敏氏が今後の注目テーマの最右翼として注目するのは「カジノ」関連だという。
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アベノミクスに黒田日銀の「異次元バズーカ砲」が加わって、ここまで円安・株高が進んできたが、さすがに値幅と時間の調整が必要だろう。相場全体の調整で、これまで派手な値動きを見せてきた不動産やバイオ関連への物色意欲が薄まるかもしれない。
そうしたなか、次のテーマとして浮上する最右翼が「カジノ」関連ではないかと見ている。
すでに4月24日には、国内でのカジノ合法化によって観光立国を目指す超党派の「国際観光産業振興議員連盟(通称・カジノ議連)」が総会を開き、活動の再開を決定。安倍晋三首相も前向きで、3月の衆院予算委員会で「メリットも十分ある」などと答弁している。
現状、カジノは、刑法で賭博行為が禁じられているため設置が認められていないが、外国人観光客誘致や地域振興の起爆剤として、国が地方自治体の申請に基づいて建設可能区域を指定し、民間事業者がカジノやホテル、会議場などを併設した統合型リゾート施設を運営する仕組みを軸に検討が進められている。
そして、9月にも開かれる秋の臨時国会に議員立法で法案提出というスケジュールが濃厚だ。すでにカジノ議連が2011年8月に「特定複合観光施設区域整備推進法案」を決定していることもあり、7月の参院選での自民党圧勝を受け、法案が提出されれば成立する公算は高いといえるだろう。
そのスケジュールが現実味を帯びるにつれ、カジノ関連銘柄が一気に急騰するのは必至の情勢だ。
具体的に注目したい銘柄のひとつが、フジテレビをはじめフジサンケイグループの持ち株会社であるフジ・メディア・ホールディングス(東証1部・4676)。グループの顔であるフジテレビが視聴率争いで首位から陥落するなど、かつての存在感は失いつつあるが、カジノ解禁が大きな追い風となる可能性が高まっている。
同社は国際会議場やカジノ施設などが入る複合施設プロジェクト、いわゆる「お台場カジノ構想」を進行中で、すでに東京都に事業計画を提出済み。景気回復に伴う広告料の増大に加え、今後、カジノ関連の法案が提出されれば、動意づくのは必至だろう。
ただし、注意したいのは、この手のテーマは法案提出までが相場となる傾向が強い。「噂で買って事実で売る」という相場格言があるように、法案提出とともにテーマが陳腐化する可能性も否定できない。
日々のニュースなどに目を凝らしながら買いを入れた後は、この秋口にかけて売るタイミングを常に探るような「短期決戦」に打って出た方が賢明だろう。
※マネーポスト2013年夏号