「第三者」が入った方がスムーズだという意見も
退職代行業者という「第三者」が入った方が“楽”だと考える人もいる。IT企業の人事担当者である30代男性・Bさんは、「面倒じゃなくていい」と本音を明かす。
「個人的には第三者が入る方が楽ですね。粛々と退職手続きを進めることができるからです。退職を希望する本人とやりとりすると、何かと連絡が滞ることもありますが、業者を通せばスムーズ。特に貸与物の回収や、会社においてある荷物の引き上げが楽ですね。業者が全部やってくれるので」
Bさんは「もちろん、一度採用した人が挨拶もなく消えていくのは寂しい」と言いつつ、「退職代行を使いたくなる気持ちはわかる」と理解を示す。
「僕が転職組だからこそ、退職代行を使いたくなる気持ちはわかるんです。というのも、会社に『辞めたい』ってなかなか言いにくいし、言ったら言ったで『なぜなのか』に始まり、不満があったのか、次はどこに行くのかなど、社内で会う人たちから質問攻めで、本当に面倒なんです。その点、退職代行業者なら『辞めたい』という意思表示がものすごく簡単ですからね」
次第に存在感を増すようになった退職代行。前出・マイナビの調査では、2023年6月以降の1年間に転職した人で退職代行を利用した人は16.6%。年代別では、20代が18.6%で最多だった。「20代の転職者の約5人に1人」ということになる。
新卒者の利用意向はどうか。NEWONEによる2025年新卒入社者206名を対象とした「退職代行についてのアンケート調査」によると、94.2%が退職代行を認知しており、その利用意向としては25.3%、実に4人に1人が「自分自身も使う可能性がある」と回答している。