*14:16JST 米国株式市場見通し:パウエル議長解任騒動でさらに「アメリカ離れ」が進むか
来週の米国株は、引き続き方向感に乏しくなりそうだ。米中貿易戦争の激化に、パウエル議長解任騒動という新たな火種が加わったことで、積極的な買いは手控えられよう。トランプ大統領によるFRB批判は第一次政権時と変わっていないが、トリプル安が見られるなど為替、株式、債券市場が不安定な状況下、中央銀行の独立性が揺らぐ事態に陥ることは、より一層の「アメリカ離れ」を引き起こしかねない。来週開催される国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季総会や、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議において、「中銀の独立性」は再確認されそうだが、当のトランプ大統領もしくはベッセント財務長官が何かしらの火消しを行う必要はありそうだ。
投資家の心理状態を示すVIX指数は低下傾向にあるが、29.65ポイントと落ち着きを示す10ポイント台よりも高い状態のままだ。来週は主力銘柄の決算発表も多く控えていることから、市場予想よりも弱い4-6月期見通しが相次いだ場合、今週のユナイテッドヘルス・グループのように主要3指数の下押し要因となろう。S&P500は、23年2月以来となる「デスクロス(50日移動平均線が200日移動平均線を下回る状態)」が発生。デスクロスは必ずしも「下げ」を示唆するサインではないが、投資家に「下値警戒」を植え付けるには十分と言えよう。トランプ大統領の一挙手一投足に翻弄される展開は続く。
経済指標は、21日に3月景気先行指数、22日に4月リッチモンド連銀製造業指数、23日に4月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、3月新築住宅販売件数、週次原油在庫、24日に週次新規失業保険申請件数、3月耐久財受注(速報値)、中古住宅販売件数、25日に4月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などが予定されている。
主要企業決算は、22日にGE、ハリバートン、ムーディーズ、スリーエム、ノーザン・トラスト、ベライゾン、インベスコ、ロッキード・マーチン、23日にボーイング、CMEグループ、フィリップ・モリス、AT&T、IBM、ラム・リサーチ、TI、24日にアメリカン航空、コムキャスト、ダウ、ハーレーダビッドソン、メルク、P&G、ユニオン・パシフィック、イーストマンケミカル、インテル、Tモバイル、ベリサイン、ペプシコ、25日にエーオン、オートネーションなどが予定されている。
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