「押し目買い」の注意点とは
証券会社で株式売買するディーラーとして5年、生命保険会社で株式と債券のファンドマネージャー、ストラテジストとして7年と経験豊富なBコミさんも「今回のトランプ関税ショックを読み切っていたわけではない」と語る。
「サプライズでしたが、だからといって恐怖感はない。相互関税を一時停止している間にまだ打つ手はあるし、そもそもトランプ政権は相互関税を各国と交渉する条件のひとつに使っているとみるべきでしょう。各国との交渉を経て実施しない可能性もある。世界中に相互関税が課され、世界経済はパニックに陥るといった“最悪シナリオ”ばかり想定すると、先行きを見誤るかもしれないと考えています。
米国企業の業績が好調なこともあるし、日経平均株価も今年の上値は4万4000円とみています。というのは、昨年の高値は4万2000円台で、そこから5%上昇すると考えれば4万4000円。日本企業の業績は今年10%程度の上昇が見込まれていますから、株価も少なく見積もってもその半分程度の5%上昇が織り込まれて、年末にも4万4000円に行くのではないかという見立てです。
そこまで見越せば、やはり下がったところは優良銘柄を押し目買いするチャンス。ただ、気をつけてほしいのは、押し目買いというと、株価の下落率ランキングを見て、ただ大きく値下がりした銘柄を狙う人もいますが、そうではない。やはり業績の裏付けがある銘柄を選ばないといけない。簡単に選ぶなら、配当利回りの高い『高配当株』に目をつけるのがいいでしょう。株価が下がれば配当利回りは上がるし、下がったとしても配当金は受け取れるうえ、高配当株は人気が落ちないので株価上昇も期待できます」
混乱のなかでも、億り人たちは先の展開を見越して動いている。別記事『【トランプ・ショックからトランプ・バブルへ】シゲルさん他6人の“億り人”が厳選「今こそ仕込み時の注目銘柄」25』では、Bコミさんをはじめとする億り人たちが具体的にどのような銘柄に注目しているのかを詳しく解説している。
【プロフィール】
坂本慎太郎(さかもと・しんたろう)/大学卒業後、メーカー勤務を経て、日系の証券会社でディーラーとして6年間活躍後、かんぽ生命保険に転職し、株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。個人投資家として1.5億円超の資産を築く一方、2015年に中級者向けのトレード指導を行なう「こころトレード研究所」を設立、所長に。ディーラーとして短期、機関投資家として中長期と幅広い経験や実績に裏付けされた投資アイデアを多数持つ。「Bコミ」のハンドルネームで知られ、テレビ、ラジオ、雑誌など各メディアでも活躍中。著書に『朝9時10分までにしっかり儲ける板読み投資術』『ずるい不動産投資―手間暇かけずに毎月50万円の家賃が入ってくる築古区分マンション投資入門』など。