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【水上紀行の為替相場の本質】 日本の個人投資家層の市場支配力

夏にかけての例年の相場動向は?

 本邦個人投資家層の市場支配力が高まっている中で、目先3か月の見通しをお話ししましょう。5月から8月にかけての、相場の上で最も注目しておきたいのは、6月末の欧米勢の中間決算です。

 この中間決算の前の6月初頭前後に、欧米の金融機関やファンドは、実際に年初来の利益の確定のために、保有ポジションを手仕舞ってきます。

 2012年と2013年の実例をご覧ください。各年の注目された通貨ペアが、最もポジション的にも偏りがありますので、この時期の相場展開がチャート上でも明らかです。

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 2012年の注目通貨ペア(図1)は、ユーロ圏の債務危機が大きな問題となったユーロ/ドルでした。ユーロ圏の債務危機によりユーロからドルへの資金逃避が続きましたが、6月1日に方向転換していることがわかります。これが、欧米勢の中間決算に伴う利益確定の買戻しが始まったタイミングです。

 6月中旬まで利益確定の動きが終わると、もともとの方向に戻る傾向があり、この年も7月中旬まで再び売りが強まりました。

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 翌年の2013年の注目通貨ペア(図2)は、前年の秋から始まったアベノミクスをきっかけとしたドル/円の上昇でした。

 2012年10月から翌年2013年5月までで約25円もの急上昇をしましたが、5月22日にピークアウトして、6月前半まで下落しました。

 これもまた、欧米勢の中間決算に伴う利益確定の売りです。その後、前年と同じように、7月前半までもともとの方向に戻りました。

 さて、このように6月を前後して、今までの手持ちポジションを閉じるための反対売買に伴うトレンドとは逆方向の動き、そして中間決算の手続きが終わると元のトレンド方向に戻るというのが、5月から7月の相場の傾向だと思われます。

これから3か月の相場見通し

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 それでは今年のこの時期を予想してみたいと思います。まず、今年の年初来の注目通貨ペアはなんだったのでしょうか。シカゴIMMのポジションで見ますと、ユーロ(図3)は、ほとんど偏っていません。

 円(図4)は、円ショートでしたが、ここのところ減ってきています。つまり、主要通貨で年初来あまり極端にポジションが偏ったものはありません。

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 敢えて言えば、心持ち円ショート(ドル/円ロング)の手仕舞いによるドル売りが起きるぐらいではないかと思われます。

 したがい、ドル/円が売られたとしても、それほど大きなドル安にはならず、結局レンジ相場が続くのではないかということです。EUR/USDについても、ECBのユーロ高牽制発言は続くものと思われ、レンジ相場は続くものと見ています。つまり、忍耐と葛藤の初夏となるのではないかと見ています。
(2014年5月9日執筆)
※「マネーポスト」2014年夏号に掲載

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