今や〝円〟の世界的認識は変化している
リーマンショックはアメリカにとどまらずユーロ圏での金融危機をも引き起こす事態となりました。これによりユーロ/ドルは2012年の2月~7月の間で1400ポイントも下落(図2参照)。ユーロが大幅に売り込まれる一方で、多く買われたのが円です。
リスクオフムードの中で円買いが進行し、日本は歴史的にも過度な円高に苦しめられることとなりました。
しかし「リスク回避の円買い」とまで言われ、リスクから逃れる手段として円買いを行うのはここ長年の世界的認識でしたが、この考え方はそろそろ終わりを告げるのではと見ています。なぜなら最近、日本は周辺国との間で緊張関係が高まっています。
こうした状況下、もしも周辺国との小競り合いであっても発砲事件などが勃発すれば、ドル/円は少なくとも5円は急上昇(円安)することを想定しておく必要があると思います。
リスクはその危機がいつ発生するかわかりません。リーマンショックの時のクロス円のように想定しきれない変動は、いつ起きてもおかしくありません。
ただしリスクに対して身構えることで、多少なりともダメージを軽減することはできます。リーマンショック以上の事件が今後、起こりえないとも思っていません。むしろ、さらに大きな何かが起きる可能性があると考えています。トレーダーはリスクと付き合う仕事です。緊張感を身につけておくことが大切です。
(2014年7月31日執筆)
※「マネーポスト」2014年秋号に掲載
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