「お通し・突き出しは日本の文化だ!」と言い張るのは構わないでしょう。しかし、たかが数百円の売り上げを絶対的に確保するために客を不快にさせ、結局すぐに帰らせる結果になっては返って損なわけです。飲食店の側の言い分もわかります。「350円のチューハイ一杯だけ頼んで食べ物を何も頼まず1時間スマホいじってる学生がいるんですよ。せめて、お通しで300円取って売り上げ650円確保したいんです……。そういった人が複数テーブルを占拠していて、後から来たお客さんが『うわっ、満席か……』と言って帰っちゃうんです」なんてこともあるでしょうね。
こういった場合、「お客様は神様です」という姿勢を日本の飲食店は捨て去るべきです。昨今、九州のファミレスチェーンが注文をしないくせに長時間居座って勉強する学生をお断りするような貼り紙を貼ってネットで話題になりました。これでいいんです。「カネを払ってくれるお客様の来店を排除する少額しか払わない者は、ウチにとって大事なお客様ではありません」というスタンスを見せてしまっていいと思います。
結局、今の状況を考えるとお通し・突き出しシステムは、サービスのつもりが空回りしているばかりか、一部の非常識な客の愚行をまともな客が尻拭いさせられているだけなんですよね。
外国人には「お通しは日本の文化」なんて理屈は通じないので、飲食店の皆さまは本気でこれから対応を考えた方がいいと思いますよ。なお、私は居酒屋で酒を飲みまくっていますが、最近はお通しのない店がいくつもあり、実に快適です。渋谷の「S」や「Y」、下北沢の「S」といった焼き鳥・居酒屋の名店はお通しを出しません。下北沢のSの若奥様(店長)に「なんでお通しを用意していないのですか?」と聞いたら、「(先代店長の)父が『お客さんが食べたくないかもしれないものなんか出したくない』と言っているので、それを私も引き継ぎました」と答えていました。