投資

【水上紀行の為替相場の本質】 急騰・急落のメカニズム

急騰・急落のメカニズムとは?

 急騰相場の舞台裏例として、今年の8月から10月にかけての11円上昇した相場の中でも、10月31日に1日で3円急騰した相場を取り上げてみたいと思います(図4参照)。

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 端的に申し上げて、急騰が起きる原因は、ロスカットの集中です。もちろんきっかけとなるものがあり、10月末の場合、日銀の追加金融緩和の決定が上げられます。

 この日は日銀が緩和を決定する前から、マーケットはドル買いが引かない状況でした。この買い気の引かない状況が起きるのは、マーケットのポジションがショートに偏っているためです。つまり、売ったものの下がらないため、ジリジリと買戻しが起きている状況でした。

 それが、追加緩和の決定が伝わると、ショート筋は少しでも損失を抑えようと、先を争って買戻しに走り、相場は急騰しました。

 急騰は新規の買いポジションを作ることによって起きると見られがちですが、新規の買いはできるだけ良い持ち値のポジションで作ろうとしますから、丁寧に行われ、それほど焦って高値を買い上げてくることはありません。

 それに対してロスカットは、出来るだけ早くマーケットからゲットアウト(脱出)しようとするため、持っているショートポジションをなにがなんでも買い戻そうとする結果、パニック的な買いになるわけです。

 こうしたロスカットが集中すると、その後マーケットのポジションはほぼスクエア(ノーポジ)になるため、動かなくなります。

 少しマーケットが落ち着いてくると、いったん売りのポジションをロスカットしたマーケット参加者が悔し紛れに売り直すことがあり、そのためスクエアになっていたマーケットは、再びショートのポジションが多くなってしまいます。

 しかし苦し紛れでのショートポジションでは、値が下落するに至らず、結局そのショートポジションを損切り(売りのポジションを買い戻し)するため、再び値が上昇するという現象がおきます。

 特にロスカットが集中した当日は、いくら売っても下げづらく、再び上昇することが繰り返されるため、流れに逆らうほど、締め上げられることになります。

すごい買い、よくよく聞けばロスカット

 このようにポジションの偏りが大きく変化する時に、急騰そして急落が起きます。「すごい買い、よくよく聞けばロスカット」という為替川柳がありますが、まさに急騰相場を大いに表していると思っています。

 難しいことは考えず、相場がこの川柳のようになったら、十分上げに警戒することが必要です。また、急落の場合は、「すごい売り、よくよく聞けば(ロングの)ロスカット」になりますので、これも合わせて覚えておくとよいかもしれません。

 続けて2015年の相場動向につきましてもお話しいたします。

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