今年も供給側改革が進展すると予想され、製造業の投資の伸びは鈍いだろう。全体として設備投資が過熱する可能性は低いだろう。
金融面では、人民銀行は資金供給を絞り始めており、金融政策は緩和から中立にシフトしつつある。金融当局は景気過熱懸念を意識し始めている。
全人代が終わり、各中央系部局、地方政府における具体的な経済運営方針は固まっている。一帯一路戦略、供給側改革が進展し、産業レベルでの政策などが打ち出されるだろうが、同時に、資源価格、素材価格がさらに上昇しないように当局は細かな関与を行うであろう。
設備投資は安定する一方で、所得水準の向上、消費の高度化、農村部の活性化などにより、消費は底堅く推移する。昨年5月、中国人民日報は、「中国経済はV字回復することはない。L字回復になるだろう」との見方を示したが、今はL字の縦の部分が終了し、横の部分に移行している。当局のマクロコントロールの下で、消費が景気を下支えすることで息の長い安定成長が続きそうだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。