なぜ、同社は求人広告を経営破綻および内定取り消しというタイミングギリギリまで掲載していたのか。広告代理店関係者はこう分析する。
「大手人材会社の新卒採用にかかる広告掲載費用は、最低でも100万円以上。そこにインターン告知や採用ツールなど、様々なオプションを追加すれば300万円はくだらないでしょう。ただ、企業にとって、新卒の求人広告というものは、新人を採用・育成する財政的な余裕があるというイメージを、業界内だけでなく金融機関などにアピールできる“広告”にもなるのです」
15億円以上の赤字だったにもかかわらず、黒字に見せかけた粉飾決算をしていたといわれる同社。新卒採用が、財務面の健全さをアピールする一つの材料だったのかもしれないというわけだ。前出・広告代理店関係者は続ける。
「リーマン・ショック以降、特に問題視されるようになっているのですが、採用する気はないのに求人を掲載する“空求人”を彷彿とさせます。主に中途採用で、中小・零細企業が採用実態があるように見せる苦肉の策ですが、新卒でコストをかけて“空求人”ともとれる募集をかけるというのは非常に質が悪いですね」
同社の求人広告には、「業界の革命児」「てるみくらぶが日本の旅を変えます」などという文言が踊っていたという。これはどういう意図だったのだろうか。
「『〇〇を変える』『革命』『成長』『夢』『独立』などのキャッチコピーは常套句です。一概には言えませんが、アピール材料がない場合、少しでも求職者をひきつけるために、多少誇張した“定型句”にあてはめます。いわゆる“ブラック企業”に多く見受けられるパターンですが」(同前)